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スマートフォン

スマートフォンの急速充電における課題と弊害


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スマートフォン業界には様々なメーカーがありますが、それぞれのメーカーは競争するのが大好きです。
ユーザーエクスペリエンスなど数値で比較するのが難しいものもありますが、彼らは数値として比較しやすいスペックを特に好んで競争します。
そうすると、発表会では「(弊社の製品)は(他社の製品)よりも優れている」と高々にアピールすることができますからね。

そんな中、今回注目したのがスマートフォンのバッテリーです。
バッテリーは容量に加えて、各メーカーがそれぞれで急速充電規格を開発し、競うように充電スピードをアピールしています。

しかし、スマートフォンのバッテリーはバッテリーだけを変更すれば良い話ではないのです。
車がギアやプレーキ、サスペンションの変更なしに、エンジンを強化することができないように、スマートフォンでバッテリーを強化することは、スマートフォンのインフラストラクチャー全体を見直す必要があります。

それでは、本題の高速充電規格の弊害を見ていきましょう。

電源アダプター

iPhone 11の5W充電器とOnePlus 7Tの30W充電器
高速充電を追求するにあたって、スマートフォンは特定の電源アダプターを使用しない限り、最大限の充電速度を出すことが難しくなりました。
また、スマートフォンのバッテリーだけでなく電源アダプターの巨大化も進んでいます。

最新の電源アダプターの設計における課題は、「安全かつ効率的に大量の電力を供給すること」です。
この結果として、物理的にバッテリーや電源アダプターを大きくすることと、より効率的な回路設計をする必要があります。

ケーブル

OnePlusのケーブルとiPhoneのケーブル
効率的に電源を供給するには、ケーブルすらも重要になってきます。
電力は電圧と電流の積に等しく、この電圧と電流を高めることにより、電源アダプターからスマートフォンへより効率的に電力を転送することができます。
例えば、10V、3A(高電圧、低電流)や5V、6A(低電圧、高電流)で30Wの電力を転送する方法があり、どちらも間違っていませんが、それぞれ解決すべき問題があります。

電圧を上げると、ケーブルは細く、安価になり互換性も向上します。
この方法だと、スマートフォンに付属するケーブルで幅広い機器を正常に充電できる可能性が高まります。
しかし、スマートフォンを充電する場合、バッテリーを安全に充電するためには電圧を約3.2~4.3Vに下げる必要があります。
この変圧は100%効率的ではなく、電力の一部は熱として失われてしまいます。
発熱はスマートフォンのパフォーマンスを下げるだけでなく、充電プロセスを制御し、バッテリーの寿命を短くする可能性があります。

一方、5Vの低電圧だとスマートフォン内部で発生する熱は少なくなります。
ただし、代わりに電流を上げる必要があり、特別なケーブルで充電をする必要があります。
その結果として、OnePlusのDash Charge技術は、OnePlus独自のケーブルでのみ機能します。
互換性のないケーブルで充電する場合、スマートフォンは充電速度を制限します。
また、互換性のないケーブルが高い電流を処理できずに、過度な電力がスマートフォンにダメージを与える可能性があります。

電池

iPhone 11 Pro Max バッテリー
電源アダプター、ケーブルときましたが、最大の課題はバッテリー自体にあります。

最近のリチウムイオンバッテリーの設計は、あまり注目されていませんが各メーカーが多くのリソースを投入して開発を行っています。
Appleが先日、発売した「iPhone 11 Pro Max」ですが、電子工学の専門家たちはバッテリーの改善ことが前モデルとの最大な違いだと語るほどです。

バッテリーは短絡、過充電、発熱を防ぐために特殊な回路の設計が義務付けられています。
スマートフォンのバッテリーが破裂し、安全上の問題を起こさないためです。

リチウムイオンバッテリーが安全に充電できる速度は、その設計によってそれぞれ異なります。
そして、物理的なサイズに着目すると、より大きなバッテリーには、より速い充電速度を処理することができます。
しかし、スマートフォンの重量が増えることを嫌い、各メーカーは物理的なサイズを大きくすることなく処理能力だけを高めようと努力しています。

物理的なサイズを大きくすることなく、同じサイズのバッテリーでより速く充電できるよう再設計するには、バッテリー容量以外の構造を増やす必要があり、この場合バッテリー容量が減少します。
実際の例として、ASUS ZenFone 6が挙げられます。
ZenFone 6は5000mAhのバッテリー容量で最大18Wで充電できます。
40Wの充電が可能な同じ物理サイズのバッテリーでは4000mAhのバッテリー容量しか保持できなかった。と同社のエンジニアは語っています。

また、バッテリーのサイズがどれだけ大きくても最大の充電速度は、バッテリーが約70%になるまでしか維持することができません。
この制限はバッテリーが設定温度の制限を超えない場合のみ作動します。その閾値を超えれば超えるほど、安全上の理由から入力電力が減少します。

まとめ

近年のスマートフォンの充電速度には目覚ましい進化を感じますが、対応する充電アダプターやケーブルを使用する必要があり、互換性は低下しています。
また、バッテリーの巨大化も少なからず進んでおり本体重量もどんどん、増量しています。

個人的な理想としては、重量が190g以下でありながら30W以上の急速充電とワイヤレス充電に対応しているスマートフォンです。
現時点でこの条件に最も近いのが、XiaomiのMi 9なので筆者はMi 9を愛用しています。

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