国内でもようやく始まった5G通信サービスですが、事業を行うための通信電波の割当はdocomo・au・softbank・楽天の4社に対して実施され、そのうちdocomo・au・softbankの大手3事業者でサービスが開始されたところです。
この5G通信サービスは現在主流の4G通信サービスより大きく通信速度が向上することが注目されていますが、これまでと全く異なる周波数を利用して通信を行うため、スマートフォン側もどの周波数に対応しているのかを確認する必要が出てきます。
今回は国内で利用される5G通信の周波数と各社への割当状況を確認し、スマートフォン側の対応状況も含めて確認していきます。
目次
国内の5G周波数の割当を3行でまとめると、、、
- docomo・au・softbankに楽天を加えた4社に割り当てを実施
- 5G通信の周波数はSub6とミリ波の2種類を開設計画の評価して割当
- 割り当てられた周波数に対応しないスマホは利用できないため、海外スマホなどは確認が必要
5G通信の周波数とは
5G通信に使用する電波は大きく分けるとSub6と呼ばれる周波数帯とミリ波と呼ばれるより高い周波数帯の2種類の周波数で通信を行います。
まず基本知識としてこの2種類の周波数を簡単に紹介します。
Sub6(3.7GHz帯および4.5GHz帯)
docomo・au・softbankの3社がまず5G通信サービスを開始したのがこのSub6と呼ばれる周波数帯で、3.7GHzおよび4.5GHzの周波数帯を指しています。
利用する周波数が6GHz以下のため、Sub6と呼ばれています。
5G通信の周波数帯は帯域幅ごとに「n」+「番号」の帯域番号の命名をおこなっていて、Sub6は「n77」「n78」「n79」の3種類の番号が振られています。
ただし、このうち「n78」は「n77」の範囲に収まっているため、「n78」対応のスマートフォンは多くの場合「n77」の範囲でも利用することができます。
ミリ波(28GHz帯)
docomoが今年の夏以降にサービスを開始しようとしている周波数帯がミリ波で、Sub6の周波数と比べて大きく周波数をあげた28GHz帯の周波数でサービス提供を行います。
電波の波長が1mm~10mmと短い波長のため、ミリ波と呼ばれています。
通信サービスでは、高い周波数ほど通信速度を向上させることができるため、このミリ波のサービスが始まってこその5G通信サービスと呼ぶ人も少なくないと言われています。
ただ、高い周波数では電波の到達距離も短くなり、遮蔽物にも弱くなるため、効果的に通信サービスを提供するには基地局の数が多く必要なるなど、事業者側にっとっては取扱いが難しい周波数と言えます。
帯域番号は「n257」となります。
国内の5G通信周波数の割当状況
5G通信サービスの通信に使用する周波数は事業を行う事業者が総務省から使用認可を受けることで事業を行うことができるようになります。
総務省は利用を希望する事業者(docomo・au・softbank・楽天)の5G通信サービスの取り組み状況を審査し、評価点の高い順に希望する周波数の割当決定を行いました。
その結果、Sub6ではdocomoとauは2枠の割当、softbankと楽天は1枠の割当となりました。
ミリ波については4事業者とも1枠ずつの割当となっています。
Sub6はau・docomo優位、softbank・楽天は一部不利に
Sub6で割当が行われる3.7GHz帯と4.5GHz帯は評価点数の高い順に希望する周波数枠を100MHz幅ずつの割当が実施され、下記表の通り評価点が上位であったdocomoとauは2枠確保することができ、softbankと楽天は1枠のみとなりました。
softbankと楽天は枠数が1枠であること以外にも、割り当てられた周波数枠がn77となっているため、n77非対応でn78対応のスマートフォンは導入することができなくなるという事態が発生する可能性があり、docomoとauと比べると不利と言えるでしょう。
事業者 | 1枠目 | 2枠目 |
docomo | n78(3.6~3.7GHz) | n79(4.5~4.6GHz) |
au | n78(3.7~3.8GHz) | n77(4.0~4.1GHz) |
softbank | n77(3.9~4.0GHz) | |
楽天 | n77(3.8~3.9GHz) |
利用がまだ始まっておらず扱いの難しいミリ波は横並び
ミリ波で割当が行われる28GHz帯でもSub6と同様に評価点数の高い順に割り当てが行われています。割当幅は400MHz幅ずつ実施され、各社1枠ずつという横並びの状態となりました。
ミリ波は高速通信が期待できる反面、到達距離が短いため取り扱いが難しいところがあるため、現時点ではサービスを開始している事業者がいないことも含めて割当状況だけでは各社有利不利という状況にはならないでしょう。
事業者 | 1枠目 |
docomo | n257(27.40~27.80GHz) |
au | n257(27.80~28.20GHz) |
softbank | n257(29.10~29.50GHz) |
楽天 | n257(27.00~27.40GHz) |
5G対応スマートフォンの対応周波数の例
5G通信に使用される周波数と国内事業者の周波数割当の次は実際に利用されるスマートフォン側の対応状況も確認していきましょう。
国内メーカーと海外メーカーに分けていくつかピックアップしましたので興味ある機種がどの事業者の周波数に対応しているのかの参考としてください。
ただし、メーカーから事業者への提供時や国ごとの対応で対応周波数が変わっている可能性もあるため、どこで購入しても同じということではなく、メーカーとしては対応しているぐらいにとらえてください。
国内メーカー編
国内で5G通信サービスが開始されたばかりということもあり、国内の5G対応スマートフォンはまだ数が少ない状況です。
そのため、ピックアップではなく発売もしくは発売予定となっている機種をすべて取り上げます。
Xperia 1 II
対応周波数 | Sub6(3.7GHz帯および4.5GHz帯) ・n77(softbank・楽天) ※ソフトウェアアップデートで対応予定 ・n78(docomo・au) |
docomoとauから発売が決まっているソニーのフラグシップスマートフォン「Xperia 1 II」は今のところ取扱い予定がないsoftbankのn77にも対応予定となっていますが、「77 will be available through software update.」と将来ソフトウェアアップデートにて対応とあるため、現状は国内ではdocomoとauでしか利用できないと言えます。
AQUOS R5G
対応周波数 | Sub6(3.7GHz帯および4.5GHz帯) ・n77(softbank・楽天) ・n78(docomo・au) ・n79(docomo) |
docomo・au・softbank3社すべてに5G対応スマートフォンを提供しているシャープの「AQUOS R5G」はn77・n78・n79のすべての帯域に対応しているため、安心して利用できるスマートフォンと言えます。
ただ、未確認情報ですがsoftbankのAQUOS R5Gではdocomoの5G通信ができなかったという話もあるため、softbankからdocomoやauに乗り換える場合は注意が必要でしょう。
arrows 5G
対応周波数 | Sub6(3.7GHz帯および4.5GHz帯) ・n78(docomo・au) ・n79(docomo) ミリ波(28GHz帯) ・n257(docomo・au・softbank・楽天) |
docomoから発売予定となっている富士通の「arrows 5G」は初のミリ波対応スマートフォンとなる予定であることから、n78・n79・n257の3つの周波数幅に対応しています。
n77には対応していないようなので、発売前から考える話ではないかもしれませんが、arrows 5Gを購入した後でsoftbankや楽天への乗り換え話が出た場合は5Gサービスが使えくなると考えた方がいいでしょう。
海外メーカー編
国内と異なり、海外では既に5Gサービスを提供している地域も多く、既に数多くの5Gスマートフォンが発売されています。
国内で手に入らない機種も多いため、国内で手に入る機種から5機種ピックアップして紹介します。
Galaxy S20
対応周波数 | Sub6(3.7GHz帯および4.5GHz帯) ・n77(softbank・楽天) ・n78(docomo・au) ・n79(docomo) |
docomoとauから5Gサービス開始とほぼ同時に発売された機種がサムスンの「Galaxy S20」です。よりハイスペックの「Galaxy S20+」が今後発売予定ですが、スペックの高さとサイズ感のバランスがいい良機種と言えます。
対応周波数ははn77・n78・n79のすべての帯域に対応しているようです。
OPPO Reno 3
対応周波数 | Sub6(3.7GHz帯および4.5GHz帯) ・n77(softbank・楽天) |
softbank独占で発売予定の「OPPO Reno 3」はn77の対応となっています。未確認情報の中にはn78にも対応しているという話もありますが、確かな証拠までは見つけることができなかったため、現状では提供予定となっているsoftbankのn77と考えておくべきでしょう。
LG V60 ThinQ 5G
対応周波数 | Sub6(3.7GHz帯および4.5GHz帯) ・n77(softbank・楽天) ・n78(docomo・au) ・n79(docomo) |
docomoとsoftbankから発売されているLGエレクトロニクスの2画面スマートフォン「LG V60 ThinQ 5G」はsub6のn77・n78・n79すべての帯域に対応しているようです。
ただし、docomoとsoftbankそれぞれのサイトに記載されている資料を見るとdocomo版ではn77、softbank版ではn78・n79の対応が省かれている可能性があるため事業者をまたぐ場合は注意が必要です。
Find X2 Pro
対応周波数 | Sub6(3.7GHz帯および4.5GHz帯) ・n77(softbank・楽天) ・n78(docomo・au) ・n79(docomo) |
auから発売予定のOPPOの「Find X2 Pro」はsub6のn77・n78・n79すべての帯域に対応しているようです。
カメラ機能重視のハイスペック機種ですが、取扱いが今のところauのみとなっているため、docomoやsoftbankのユーザーには気になる方もいるでしょう。
Huawei Mate 30 Pro
対応周波数 | Sub6(3.7GHz帯および4.5GHz帯) ・n77(softbank・楽天) ・n78(docomo・au) ・n79(docomo) |
アメリカのHuaweiへの制裁問題のため、Googleサービスの搭載ができないなど、ハイスペック機種なのにSIMフリーのみとなっている「Huawei Mate 30 Pro」はSub6のn77・n78・n79すべての帯域に対応しているようです。
SIMフリーでの購入時にどの事業者でも利用可能というのは大きな安心材料といえるでしょう。
まとめ:5Gスマホを事業者から購入する場合以外は対応周波数の確認が必要
5G通信の周波数について事業者への割当とスマートフォン側の対応の状況を中心に紹介してきましたが、メーカーや機種、さらに提供先によって対応周波数が変わってくることから、5G時代のスマートフォン購入やMNPによる持ち込みを行う場合は、利用しようとしているスマートフォンの対応周波数を確認することが必須と言えます。
表現方法がわかりにくかったり、メーカーサイトへの記載が充実している場合とほとんど記載がないこともある通信周波数ですが、「n」+「番号」による帯域番号表示によって以前よりわかりやすくなってきている部分もあるため、確認箇所の1つとして意識するようにしましょう。