ソニー中国法人に対して、中国北京市朝陽区の市場監督管理局が100万元(約1770万円)の罰金を科したことが明らかになりました。
ソニーが盧溝橋事件が起きた7月7日に新製品発表会を予定しているとアナウンスしたことが、「国家の尊厳や利益を損なった」として広告法に基づき行政処分が下されました。
中国政府の信用情報機関である国家企业信用信息公示系统网站によると、北京朝陽区市場監督管理局は10月12日、ソニー(中国)株式会社が広告法に違反したとして100万元の罰金を科す行政処分を決定しました。
行政処分の根拠となった法律は、2015年9月1日より施行された中華人民共和国広告法の第9条。過料は同法律の第57条に基づいています。
条文の日本語訳は以下の通り。
第 9 条
広告に次の各号に掲げる事由があってはならない。
(一)中華人民共和国の国旗、国歌、国章、軍旗、軍歌、軍の記章を使用する、又は形を
変えて使用する。
(二)国家機関、国家機関職員の名義若しくはイメージを使用する、又は形を変えて使用
する。
(三)「国家級」、「最高級」、「最良」等の用語を使用する。
(四)国家の尊厳又は利益を損ね、国家秘密を漏洩する。
(五)社会の安定を妨害し、社会公共の利益を損ねる。
(六)人身、財産の安全に危害を加え、個人のプライバシーを漏洩する。
(七)社会公共の秩序を妨害する、又は社会の良好な気風を損なう。
(八)わいせつ、色情的、賭博、迷信、恐怖、暴力的な内容を含む。
(九)民族、種族、宗教、性別を差別する内容を含む。
(十)環境、自然資源又は文化遺産の保護を妨害する。
(十一)法律、行政法規で禁止が規定されているその他の事由。中華人民共和国広告法
第 57 条つまり、ソニー中国法人の広告は上記第9条の 「(四)国家の尊厳又は利益を損ね、国家秘密を漏洩する。」 の条文に抵触したとして北京朝陽区市場監督管理局は行政処分を下しています。
次の各号に掲げる行為のいずれかに該当する場合は、工商行政管理部門が広告掲載の停止を命じ、広告主に対して 20 万元以上 100 万元以下の過料を科し、情状が深刻な場合は、営業許可証を取り上げることができ、広告審査機関が広告審査承認文書を取り消し、1 年以内はその広告審査申請を受理しない。広告取扱業者、広告媒体業者に対しては、工商行政管理部門が広告費用を没収し、20 万元以上 100 万元以下の過料を科し、情状が深刻な場合は、営業許可証を取り上げ、広告掲載登記証明書を取り上げることができる。
(一)本法第 9 条、第 10 条で禁止が規定されている事由に該当する広告を掲載する。
略 中華人民共和国広告法
また、第57条では広告を取り下げ、広告主に対して20万元以上100万元以下の過料を科すことができるとしています。
ソニーは中国で問題が指摘されてすぐに広告およびSNSの投稿を削除および中国で開催予定だった発表会の中止を発表しているため、広告の取り下げはありませんが、過料は規程されている最大の100万元が科されています。
ソニーに科せされた罰則は上記のみですが、この広告法の恐ろしいところは、過料の他に「 情状が深刻な場合は、営業許可証を取り上げることができ、広告審査機関が広告審査承認文書を取り消し、1 年以内はその広告審査申請を受理しない。 」と定められているとこと。
最悪の場合では、営業許可証の取り上げおよび、広告審査申請を行えなくなるということです。(中国で、ビジネスを行う場合は営業許可証が必須。)
ちなみに、中国当局の調査により、該当の広告を制作したのはソニー中国法人が委託を行った広告代理店 上海传采广告有限公司であることも明らかになっています。
source(1)(2)