アメリカから強い制裁を加えられているHuawei。
調査会社IDCなどによれば、Huaweiは2020年第2四半期(4月~6月)に世界スマートフォン市場で、Samsungを抜いて首位に立ちました。なお、Huaweiが首位に立つことは史上初の快挙です。
そんな輝かしい勝利の収めたHuaweiですが、残念ながら暗く長く険しい道のり待ち受けているようです。
アメリカが課したHuaweiに対する制裁の内容には、
まず、「Google系のサービスの使用禁止」。
加えて、子会社のHisiliconの半導体の設計・生産時にアメリカの技術やソフトウェア使用する際は、「たとえアメリカ国外の生産でもアメリカからの許可が必要となる」、というものがあります。
Hisiliconが設計する半導体が、全て中国国内で製造できれば問題ないのですが、中国のもつ技術には、もちろん限界があります。
特に、同社が設計するSoC「Kirinシリーズ」を製造できるのは、台湾の半導体製造メーカー「TSMC」の一つのみ。
しかし、
このTSMCからは、すでにHisiliconからの新規受注がなくなったことが報じられています。
以前は、同社のチップ生産を中国最大の契約チップメーカーである「SMIC」にシフトチェンジするのではないかと噂されていました。
しかし、SMICの未熟な技術力では超小型化・緻密化されたSoCの製造は不可能に等しい状態です。
また、Huaweiのコンシューマビジネス部門CEO、余承東氏は7日に行われたイベント内で、
9月15日に半導体製造の制裁がスタートすることから、
「これ(9月15日)以降はSoCは製造できなくなる。これは私達にとって大きな損失だ」とコメント。
自社で設計したSoCを使用できるということは、
コスト面ではもちろん、SoCの性能を理解し、持ち前の性能を最大限まで発揮できるというメリットがあります。
これはQualcomのSoCを使用する大半のAndroidスマートフォンメーカーにはない、大きな強みでした。
その強みを活かせなくなるのは、大きな打撃でしょう。
最後のとなるKirin SoCの名は、「Kirin 1020」。
ベースデザインにはArm社の新しいCortex-A78を採用することから、前作のKirin 990はもちろん、Snapdragon 865を超える性能が期待できます。
同社のフラグシップスマホ、Mate 40シリーズに搭載される予定です。
なお、今後の製品には、Qualcomm製のSoC、もしくはMediaTek製のSoCが搭載されることが予想されます。
今年に入って中国メーカーでは初めて半導体メーカーのトップ10入りを果たしたHisiliconでしたが、成長はここでストップ。
Kirin SoC搭載のスマホも、Mate 40が最後ということになります。
安全上の懸念から、Huaweiには信用できないところもあるのは事実ですが、
アメリカ側からも、そしてHuawei側からも未だに解決の糸口が見いだせていません。
そんな渦中で熱心に開発をしているであろう研究員の姿を想像すると、中国企業の製品を何でも批判的に捉えてしまうような風潮はいかがなものかと考えさせられます。
もちろん、どちらか片方を味方にすることはできませんが、早急に平和的な解決ができることを切に願うばかりです。
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