Androidスマートフォンの黎明期からその発展をけん引してきたSamsungの主な顧客層は我々のようなGeekではなく一般的消費者です。かといってSamsungが画期的な新技術の開発に後ろ向きというわけではありません。
近年ではGalaxy FoldやGalaxy Z Flipなどの折り畳み式スマートフォンを各メーカーに先駆けて積極的に開発・発表するなど、新技術の面でも常に業界をリードしています。
そして6月初めに、同社が昨年6月に出願した6つのカメラからなるカメラモジュールに関する55ページに及ぶ特許がWIPO(世界知的所有権機関)にて公開され、Samsungがスマートフォンカメラに関する新しいビジョンについて検討していることが明らかになりました。
特許文書によれば、このカメラモジュールは5つの広角カメラと1つの望遠カメラから構成され、特殊なアルゴリズムを用いることで6つのカメラの連動を図ることが可能です。
興味深いのは、これらのカメラのセンサーが傾斜可能であるという点です。独立して水平、垂直方向に傾斜可能な複数のレンズが連動し、優れた画質やフォーカスを実現します。
また、傾斜可能なカメラは、暗所など照明条件の悪い環境でも、最適化により焦点範囲を広げ、より高画質な写真を撮影できる可能性があるようです。
この技術によって、その場でスマートフォン本体を動かすことなくパノラマ写真を撮影することが可能になります。
外側のカメラは外側に向かって傾斜させ、中央のカメラをまっすぐにし、6つのカメラから得られたデータを画像処理アルゴリズムにより適切に組み合わせます。
これにより、従来のように端末をぐるっと回転させて撮影せずとも簡単にパノラマ撮影ができるようになります。パノラマ撮影につきものである不自然な歪みもこの技術により解決されるかもしれません。
ロマンあふれるこの技術ですが、製造コストが高く消費電力も大きくなるうえに、サイズが大きくスマートフォン内部に納めるのが難しいため、すぐに傾斜式カメラモジュールを搭載した端末が発表される可能性は高いとは言えません。
いずれにせよ、現時点では特許が公開されたのみで製品化されることが決まったわけではありません。
仮に実現すれば近年で最も革新的なスマートフォンカメラの技術になることでしょう。
source(1)(2)(3)