スマートフォンの新製品でしばらく前から日本メーカーの勢いがなくなり、HuaweiやOPPO、ASUSといった海外メーカー、とりわけ中国メーカーの勢いが非常に強くなってきています。
HuaweiやOPPO、ASUSをはじめとした海外メーカーのスマートフォンの中にはもちろん日本向けに発売している機種もありますが、日本には提供していない機種にも非常に魅力的な機種も多く、海外のメーカーサイトから直接購入を検討している方もいるのではないでしょうか。
Androidスマートフォンの場合、OSが同じAndroidということもあり、通信の周波数さえあえば、個人輸入で国内で使用するという方法も有効ではありますが、国内で海外仕様のスマートフォンを使用する際に注意する必要がある「技適マーク」への対応について解説していきます。
国内で流通していない海外メーカーのスマートフォンを購入する場合には必ず注意する必要がありますのでしっかり読んでおいてください。
目次
SIMフリースマホと技適マークの関係を3行でまとめると、、、
- 技適マークは日本国内で使用できるスマホなどの無線機器につけられるマーク
- 国内事業者から販売されるスマホはSIMフリー、SIMロックともに技適マークがついている
- 技適マークがついていないスマホを使用すると電波法違反となる
技適マークとは
技適マークとは、通信設備を設置する事業者とその通信設備を利用する通信機器、ここでは携帯電話やスマートフォンのことを指しますが、これら機器を管理する法律である「電気通信事業法」と「電気通信事業法」に関連する総務省令によって定められている「技術基準に適合している」ことを示すマークです。
どうすれば適合しているといわれるかというと、JATE(財団法人電気通信端末機器審査協会)の審査を受け、「技術基準適合証明」と「技術基準適合認定」の2つの基準の認定を受けることで「技適マーク」を付与することできるようになります。
この技術基準認定を受けることで、日本国内で法的に利用して問題ない端末として認定を受けているということできます。
法的なお墨付きを得ていることのメリットというより、国内で流通するためにはこの「技適マーク」の認定を受けている必要があるという非常に重要な印になっています。
日本国内で流通するスマートフォンへの技適マーク対応
日本国内で国内メーカー、海外メーカーの様々なスマートフォンが流通していますが、それらの技適マークへの対応はどうなっているのか紹介していきます。
docomoなど主要事業者の場合
docomoなど主要事業者が自社の携帯電話事業の端末として、各メーカーから提供を受ける端末が主要事業者から販売される端末です。
これらの端末はすべて技適マークの認証を受けているため、なにも疑問に思うことなく利用することができます。
多くのスマートフォン利用者がこのパターンにあてはまるため、自分の利用しているスマートフォンの技適マークを見たことがないという方も多いでしょう。
SIMフリースマホを採用するMVNO事業者の場合
現在、多くの格安スマホ事業者が乱立していますが、docomoなど主要事業者との違いは扱っている端末が、SIMロックフリーとなっており、事業者用に提供を受けている端末ではないという点です。とはいえ、どの事業者でも利用できるというだけで、国内で利用するために取り扱っている機種ですので、主要事業者と同じく技適マークはすべて認定を受けています。
事業者が提供している端末であれば、格安スマホ事業者だからといって技適マークを気にする必要はないということです。
事業者以外からスマホを購入する方法と注意点
携帯電話事業を行っている事業者以外からスマートフォンを購入する方法としては、「メーカーからの直販」、「家電量販店などの実店舗からの購入」、「Amazonなどのネット販売場業者からの購入」、「中古スマートフォン販売業者からの購入」、「オークションなどの民間取引によって購入」といった方法があります。
販売・購入方法はそれぞれ異なりますが、気を付けるべき共通点がありますので、それぞれ紹介していきます。
メーカー直販など事業者以外から購入する場合(国内メーカー)
シャープの「AQUOS zero」やSONYの「XPERIA Ace」のように国内メーカーがSIMフリーとして提供しているスマートフォンの場合、国内で利用することが前提となっているため、技適マークの認定を受けているといえます。
「国内で流通することを目的として製造されたスマホ」の場合、事業者から購入する場合と同じく気にする必要はないといえます。
メーカー直販など事業者以外から購入する場合(海外メーカー)
Huaweiの「Huawei P30」やOPPO「Reno A」などの海外メーカーのSIMロックフリースマホですが、基本的に国内メーカーと同じく、「国内で流通することを目的として製造されたスマホ」の場合、事業者から購入する場合と同じく気にする必要はないといえます。
ただ、海外メーカーのスマホの場合、同じ機種名でも「海外向けのグローバルモデル」というものがあります。
このグローバルモデルの場合は、国内で流通することを目的としていないため、技適マークがあるとは言えません。
ただし、国内の量販店で販売されている場合は、国内での流通するために販売しているため、事業者から購入するのと同列に考えることができます。
海外メーカーのスマホを事業者や量販店以外から購入する場合は、聞いたことのある機種名であっても技適マークの確認が必要と考えてください。
メーカー直販など事業者以外から購入する場合(国内メーカーの海外向けスマホ)
海外メーカーの場合、グローバルモデルがあり、国内モデルとは別と書きましたが、国内メーカーでも海外向けのスマホの場合は、海外メーカーのグローバルモデルと同じく技適マークがあるとは限りません。
SONYの「XPERIA 10」のように「XPERIA」だから安心と早合点してしまわないようにしましょう。
技適マークがついていないスマホを使用した場合のリスク
国内で流通・使用するためには「技適マークの認定が必要」といっても、単なる技術基準の認定で、実際に周波数対応していれば気にする必要はないのでは?と思う方もいるでしょう。
技適マークがついていないスマートフォンを使うとどういうリスクがあるのか紹介します。
電波法違反となる
まず、最も大きな理由となりますが、「法律違反」となる点です。
技適マークの基準認定を受けない通信機器を使用することで「電気通信事業法」と「電波法」の2つの法律に違反した不法無線機器を使用したということなります。
電波法110条では、不法無線機を使用した場合、「1年以下の懲役または100万円以下の罰金に処する」と量刑も定義されている法律違反になることを認識しておく必要があります。
もちろん重大犯罪のように法を犯したら即逮捕、処罰ということは考えにくい話ではありますが、量刑が定められているということは、技適マークのないスマートフォンを使うことで法的責任を問われても文句が言えないと認識しておく必要があります。
周りの通信機器に悪影響を与える可能性がある
なぜ技適マークによる認定が必要かという理由付けにもなりますが、国内で使用される様々な通信機器に対して悪影響を与えないことが確認済みであることを示すマークが技適マークによって保証されているということができます。
つまり、そういった保証のない通信機器が技適マークのない通信機器、スマートフォンとなるため、場合によってはペースメーカーなどの医療機器に対して、影響を与えかねないリスクがあるといえます。
技適マークがついていないスマホ利用の例外
海外のスマートフォンの場合、技適マークがないスマートフォンである可能性がありますが、外国人が自国で使用しているスマートフォンを持ち込んで使用した場合、罪に問われるのでしょうか。
電波法には日本を訪れる外国人に向けた例外条項があり、すべての技適マークのない海外スマートフォンに適用できるわけではありませんが、外国人の場合は無線LANやBluetoothに限り、「海外の同様の基準に適合している端末であれば、入国の日から90日以内までなら技適マークのある端末と同じ扱い」を受けることができるとされています。
つまり、短期旅行を目的とした外国人の場合場は、特別に許されている場合もあるということです。
日本人に向けた条項ではありませんし、90日を超えて国内で居住している外国人にも適用されないため、あくまで旅行者向けの特別条項と考えるべきです。
まとめ:どんなに魅力的な海外メーカーのスマホでも技適マークの有無は確認しましょう
日本国内で流通していないスマートフォンにはHuaweiやOPPO、ASUSのような中国メーカーをはじめとして、非常にユニークで魅力的なスマートフォンが多いことは事実です。
今ではガラケー呼ばれるとかつての携帯電話と違い、スマートフォンではAndroidという共通のOSを使用しているため、海外のスマートフォンでも通信周波数が対応していれば、日本で使用することは比較的容易となっています。
しかし、国内で流通していない、技適マークがついていないスマホを利用することは法律違反を含めたリスクがともなうことは意識しておく必要があります。
人と違うスマホが使いたい、非常に魅力的な機種があった場合など、国内で流通していないスマートフォンの購入したいと思った場合でも、法律違反までおかして購入するメリットがあるかどうかは考える必要があります。
知らずに技適マークのないスマートフォンを購入してしまったという事態を招かないためにも、国内で流通していないスマートフォンの購入を考える場合は、技適マークの有無を確認してから購入に進むかどうかを決めるようにしましょう。