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複眼化・高画素化がすすむスマホカメラの性能について解説(画素数だけがすべてではない)


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スマホ 画素数

スマートフォンに搭載されるカメラの性能はモデルチェンジのたびに高性能になっていき、レンズの高画素化とデュアルカメラ・トリプルカメラといった複眼化により非常に美しい写真や動画が撮れるようになっています。
もはやデジタルカメラ専用機は不要といった声すらあるほど、スマホカメラの高性能化は進んでしまっていますが、その一方でモデルチェンジのたびにカメラ性能の向上は今でも止まらず進んでおり、性能の天井はないようにも感じられます。
スマートフォンをスマホカメラの性能を基準に選ぶ場合、進む高画素化とレンズの数から判断するのが最適なのでしょうか?
そんな疑問に答えるべく、スマホカメラの性能判断の基準を整理し、解説していきます。

スマホのカメラ性能の判断基準を3行でまとめると、、、

  • 基本となるのはやはり画素数で一定以上の画素数は必要
  • 画素数以外にもレンズ性能・センサーサイズも非常に重要
  • 異なる性質のレンズを複数組み合わせる複眼化によっても性能は広がる

スマホカメラの性能指標値の基本、画素数について

まずはスマホカメラに限らず、デジタルカメラの性能のもっともわかりやすい指標地である画素数について考えていきます。
画素数が高いとなぜ高画質と判断できるのでしょうか、スマホカメラにとって画素数はどういう影響があるのでしょうか。

画素数とは

画素数とは

デジタルカメラで撮影された写真は1枚の画像を非常に細かい点(画素)の集まりで形作っています。
画素数が大きくなると、より多くの点(画素)で画像を形作るため、細かいところまで描写できるようになります。
例えば一眼レフカメラのようなプロも使用するようなデジタルカメラでは5000万画素クラスの高画素となっていますが、5000万画素で表現できるサイズは8688×5792の範囲にドットをならべて画像を作り出すことができるということです。

逆に画素数が少なくなると、細かな描写ができず、粗い表現の写真になってしまいます。
古いデジタルカメラで撮影した画像や集合写真をパソコンやスマホの画面上で拡大したときに遠目では普通の画像に見えるのに、拡大するとモザイクみたいな画像になってしまったという経験は一度は経験しているでしょう。
画素数が少ないと画質が悪く感じるのはそういった表現できる範囲が大きく変わってくることが原因となっています。

主流は1500万から2000万画素相当、ハイエンドでは4000万画素クラスも

スマホカメラの画素数例

デジタルカメラがそうだったように携帯電話やスマートフォンのカメラもどんどん高画素化競争に入っています。
かつては800万画素あればデジタルカメラでも十分な画素数と言われたのが、現在主流となっているスマートフォンのカメラは1500万画素から2000万画素相当の画素数を持つようになっています。
一部のハイエンドモデルはさらに飛びぬけて画素数では一眼レフカメラにもせまる勢いの4000万画素相当まで画素数を高めるところまで進化しています。

1億画素を超えるスマホカメラも登場

1億画素を超えるカメラ

2000万画素、4000万画素という数字も十分驚きの高画素数となり、一眼レフカメラに近い画素数までくればもう画素数の数字はも打ち止めかと思うと、突き詰めると技術の進化はすさまじいものがあるらしく、最新のスマートフォンカメラではとうとう1億画素なんていう画素数も実現できるようになっており、海外メーカーでは実際に製品化も実現されています。

スマホのディスプレイで体験できる画素数は限定的

スマホディスプレイで表示できる範囲

現在、主流は1500万画素から2000万画素相当という話をしたところに、ハイエンド向けでは4000万画素、技術的には1億画素も可能なんて話を取り上げると、1500万画素という数字も大したことがないように感じるかもしれません。

しかし、実はスマートフォンのディスプレイで表現できる画質にはそんな高画素は必要ないという意外な事実も存在します。
ミドルクラスに多い、フルHDディスプレイを搭載しているスマートフォンの場合、ドット数が「1920×1080」で207万3600画素までがディスプレイが表現できる範囲となります。
テレビ向けで主流になりつつあり、スマートフォンでも今後普及は進むであろう「4Kディスプレイ」でも、「3840×2160」で829万4400画素で実は十分ということができます。

もちろんズーム機能による拡大に耐えるためには800万画素では心もとないため、1000万画素を超える画素は無駄なんてことにはなりませんが、ズームや拡大して印刷する機会が頻繁に発生するわけでもないため、ディスプレイで写真や動画を楽しむという日常使いのレベルでは、現在主流となっている1500万画素から2000万画素相当で十分事足りることが示されています。

画素数が大きいことによるデメリットとは

ファイルサイズが大きくなると・・・

そうそう発生しないかもしれないけど、ズームしてもきれいな画質で写真を楽しむことができる高画素モデルは否定されるものではなく、4000万画素や1億画素という高画素化による恩恵は受けておいたほうがいいと考える方もいるでしょう。
その考え方自体は否定されるものではありませんが、高画素化によるデメリットも意識しておく必要があります。

それはデータ容量の問題が発生するということです。
スマートフォンに限った話ではありませんが、デジタルカメラで写真や動画を残す場合、スマートフォンの内蔵メモリやmicroSDカードなどの外部メモリに写真を保存することになります。
その際、高画素カメラの画素をフル活用した写真は非常に多くの画素による情報量を持つ写真となるため、写真1枚、動画1本あたりのサイズがどうしても大きくなってしまいます。
1枚1枚はデータ容量も大きくなっているスマートフォンのメモリを圧迫するものではありませんが、これが100枚、1000枚と多くなってくるとスマートフォン本体や外部メモリに保存できる容量に対して大きな影響を与えてしまうことになります。

またスマートフォンで撮影した写真はSNSにアップするなど、ネットワークに流すことも一般的な使い方となりますが、高画素ファイルは通信料にも負担となり、多くの写真をやりとりしてしまうと、通信料金にも影響を与えかねないというデメリットがあります。

高画素数以外のスマホカメラの性能指標地にはなにがある

高画素ばかりを追い求めても、スマートフォンのディスプレイではそもそも違いがわからない、データ容量も圧迫してしまう。
そんな事情を考えれば、ある程度の画素数は当然必要としても、高画素ばかり追い求めるのは得策ではないということになります。
では、画素数以外の要素でスマートフォンのカメラの性能はどう判断したらいいのでしょうか。

次に画素数以外の要素として、「レンズの明るさ」「レンズタイプ」「センサーサイズ」という要素を考えていきましょう。

レンズの明るさを決めるのはF値

F値(絞り値)によるレンズの違い

スマートフォンのカメラも含め、カメラレンズの性能の指標の1つに「F値」(絞り値)というものがあります。
これはレンズに対して「どれだけ光を取り込むことができるか」ということを示す指標値になっています。
本来はF値の大きなレンズ、小さなレンズそれぞれに特性があり、どちらが一方的によいという話ではないのですが、スマートフォンのカメラ機能を考えるとF値は「小さい方がよい」と覚えておけば問題ありません。
それはF値が小さい方が光を多く取り込むことができ、シャッター速度も速くなるため、ブレにくくなるからです。

参考までに、プロ向けの一眼レフカメラのようにレンズ性能そのものが非常に高い場合は、単純にF値が小さければよいというものではなく、どういった写真を撮影したいかという被写体特性によって最適なF値はかわってきます。
例えば、一眼レフカメラをつかって風景写真をきれいに残したい場合や夜景などでスローシャッターで撮影し、光の軌跡を表現したい場合などがF値が大きい方が望ましいシーンとなります。

レンズタイプにはどういうものがあるのか

複眼化による異なるレンズの搭載

スマートフォンのカメラがシングルカメラのみだったころは、レンズタイプなどというワードは話題にあがることはありませんでした。
1つしかないレンズに対して、タイプもなにもないからです。
しかし、デュアルカメラが当たり前になり、トリプルカメラも珍しくなくなりつつある現在のスマートフォンではこのレンズタイプもスマホカメラの重要な要素になるでしょう。

これまでのシングルカメラに採用されていたカメラを標準タイプとし、より広い範囲をとれる広角タイプより遠くをとれる望遠タイプのレンズが含まれるようになりました。
これまで光学ズームを望む場合、デジタルカメラ専用機しか選択肢がありませんでしたが、望遠レンズ搭載のスマートフォンであれば、ある程度のズームは可能になるようになりました。
広角タイプもこれまでのスマホカメラでは撮影が難しかった範囲を撮影できるようになり、より臨場感のある写真撮影ができるようになりました。

広角タイプを重視するのか、望遠タイプを重視するのかは、どういった写真を撮りたいのかによって変わってくるため、遠くを撮ることに魅力を感じるのか、より広い範囲を撮りたいのかによって決めるといいでしょう。

さらにシャープのように広角でも望遠でもない動画専用カメラという別の視点を提供してくれるカメラレンズもあるため、レンズタイプ1つでもかなり悩むことができます。

スマホカメラに限らずデジタルカメラではセンサーサイズが非常に重要

デジタルカメラのセンサーサイズとは

スマートフォンのカメラ機能の中で画素数・F値・レンズタイプというわかりやすい要素以外にもう1つ重要な要素があります。
それがセンサーサイズとなります。
スマートフォンを含め、デジタルカメラでは画像を記録するのにイメージセンサーというセンサーを使用しますが、このセンサーの大きさによって画質が大きく左右されてしまうほど重要な要素となっています。
レンズから入ってくる光や被写体の情報を受け止めるのがイメージセンサーとなりますが、このセンサーの大きさが大きいほど、入ってくる情報量をしっかり受け止めることができるからです。

イメージセンサーのサイズで最高峰といえるのが、デジタル一眼レフカメラが採用している「フルサイズ」イメージセンサーで、それ以降はサイズがどんどん小さくなっていきます。
この「フルサイズ」はなにに対してフルサイズとなっているかというと、35mmフィルムとほぼ同じ大きさであるため、フルサイズと表現されます。
デジタル一眼レフカメラの場合、本体サイズが非常に大きいため、センサーのサイズを制限する必要がありませんが、コンパクトデジカメやスマートフォンのようにサイズを小さく抑えることが重要な要素となる機種では、本体サイズの制約にともなってカメラのセンサーサイズも比例して小さくならざるを得ないということです。

現在の技術でフルサイズイメージセンサーをスマートフォンに採用することは不可能なため、フルサイズ以外でどういったセンサーサイズがあり、どういう機種に採用されているかを紹介していきます。
フルサイズの次がAPS-Cサイズで、ミラーレスカメラに採用されることが多いセンサーサイズです。
次に1.5型、フォーサーズ、1型と続きそれぞれミラーレスカメラや高級コンパクトデジタルカメラに採用されるセンサーサイズになっています。
この段階までは残念ながらスマートフォンのカメラへの採用例は現在のところありません。

次に1/1.7型、1/1.8型のセンサーサイズでこの段階でもコンパクトデジカメのハイエンドモデルで採用されるセンサーサイズになっています。
スマートフォンのカメラでは、Huaweiの「P30 Pro」のメインカメラで1/1.7型を採用しているのがもっとも大きいサイズといえます。
HuaweiのスマホカメラはLeicaとの協業となっており、非常に高画質であることがセールスポイントとなっていますが、センサーサイズからも力の入れ具合がわかります。

次が1/2.3型でコンパクトデジカメで主流となっているセンサーサイズです。
スマートフォンのカメラでは、SONYのXperia XZなどが採用しているサイズで、コンパクトデジカメと渡り合おうとしているのがわかります。

スマートフォンで主流となっているセンサーサイズはさらに1段階下の1/2.5型となっており、高画素化によりデジタルカメラにかなり肉薄している感のあるスマートフォンのカメラですが、まだまだセンサーサイズでは及ばないことがわかってしまいます。

このセンサーサイズですが、公表してもいいことが少ないためか、非公開となっているメーカーの方が多数派です。
それだけにHuaweiのように公開しているメーカーはそれだけ自信があると受け止めていいでしょう。

スマホカメラだけの進化、デュアルカメラ・トリプルカメラなどの複眼化

センサーサイズでは本家デジタルカメラに及ばないスマートフォンのカメラですが、デジタルカメラでは実現できない複眼化によって別の角度から高画質化を実現しているということができます。

複眼化によってどういう進化をもたらすことができるか

複眼化によるスマホカメラの進化

長らくカメラ機能の複眼化に舵を切れず、ライバルメーカーの後塵を拝していたSONYがトリプルカメラ搭載に踏み切ったのが「Xperia 1」ですが、ここでSONYはレンズ交換ができないスマートフォンのカメラでトリプルカメラを搭載することでレンズ交換式と同じようなことができるようになったとしています。
同じようにレンズ交換ができないコンパクトデジカメに対して優位性を持つことができたと言えるでしょう。

異なるレンズの組み合わせによって可能となったボケ写真

ボケ味のある写真が撮れるようになった

疑似的なレンズ交換以外にも多くのデュアルカメラ搭載機種で実現しているように望遠レンズと標準レンズを組み合わせ、ピントの違いからそれまでスマホカメラで撮影することは、シングルカメラだけでは難しかった背景をぼかした写真が撮れるようになったという点も大きなポイントです。
デュアルカメラ以外にもスマートフォンならではの高性能CPUとAI処理によって実現することができた機能ですが、スマートフォンの搭載するCPUやAI処理の高性能化と、デュアルカメラ・トリプルカメラという複眼化の恩恵は非常に大きいと言えるでしょう。

まとめ:カメラ重視でスマホを選ぶ場合は画素数だけに振り回されないで

スマホカメラは使い方と特徴をおさえて選びましょう

スマートフォンのカメラ機能ではこれまでの指標値であった画素数も重要ですが、画素数だけに振り回されるといい選択ができないということを解説してきました。
非公表になっていることが少なくないセンサーサイズを判断材料に入れるのは少し難しいですが、Huaweiのように特段非公表とせず、ニュースサイト等に取り上げられることで間接的にでも公表しているメーカーに対しては、それだけで1票を投じる価値はあるといえます。

また望遠・広角・動画専用といった持ち味の異なるレンズ自分にあった使い方とカメラ機能との相性を決める重要な要素になるでしょう。
今後のスマートフォンのカメラ機能では、メインカメラに対して1000万画素を切るような画素数を設定してくることはまずないため、画素数よりもレンズのF値、レンズタイプ、センサーサイズといった要素も組み込んでスマホカメラを選んでみてください。


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