Huaweiは、AndroidOSに変わる自社製品に搭載する独自OS「Harmony OS」の発表会の中でスマートフォンから大きなディスプレイへの拡張に活用できるタブレット「MatePad」シリーズの新モデル3機種を発表しました。
発表された「MatePad」シリーズの新モデルは、「MatePad Pro」が10.8インチモデルと12.6インチモデルの2機種と「Pro」のつかない10.95インチモデルの「MatePad 11」となっています。
SoCはモデルによって異なりますが、「Snapdragon 865 / 870」、「Kirn 9000E」といずれもハイエンドクラスのSoCを採用しています。
SoC以外のスペックも3機種とも非常にハイスペック仕様に仕上がっています。
3機種すべてディスプレイの解像度がWQXGAになっていたり、ペン入力機能の「M-Pencil」にも3機種とも対応しているなど「Pro」の境目があいまいに感じるほどです。
明確に差がありそうなのはメモリの量が「Pro」は8GBになっていることと、HuaweiSuperChargeによるワイヤレス充電とワイヤレス給電が「MatePad 11」には採用されていないように見えるぐらいでしょうか。
また、前者が有機EL/60Hzおよびトリプルカメラ搭載に対し、後者はLCD/120Hzおよびシングルカメラ搭載と、ディスプレイサイズとSoCの他に、ややスペックが調整されています。
「Huawei MatePad Pro 12.6」の中国価格は4,999元(約86,000円)
「Huawei MatePad Pro 10.8」の中国価格は3,799元(約65,000円)
10.8インチモデルは発表会で明かされた中国元の価格のみ判明している状況となっており、グローバルの価格は不明です。一方、12.6インチモデルのヨーロッパ価格は€799(約107,000円)
「Huawei MatePad 11」のヨーロッパ価格は€399(約53,000円)
こちらは、SoCにSnapdragon 865を搭載し、LCDディスプレイで120Hzリフレッシュレートに対応しています。
3モデルのスペックと価格を並べてみると、スペック差は大きく感じられないのに「MatePad Pro」12.6インチモデルの半分の価格で購入できる「MatePad 11」はかなりお買い得モデルになるかもしれません。
OSは3機種とも当然のことながら「Harmony OS」が採用となっています。
「Harmony OS」の紹介ムービーの中でスマートフォン、スマートウォッチ、タブレットとスクリーンをシームレスに切り替えていくシーンは、かなり使い勝手の面で魅力を感じるデモになっています。
このシームレスにスクリーンを切り替えていく機能は、「Harmony OS」が後発であることからAndroidOSやiPadのいいとこ取りや改善による強みと言えるかもしれません。
iPadであればある程度実現できている機能でもありますが、OSが異なるWindowsパソコンともシームレスにつながるのは明らかに「Harmony OS」の強みと言えるでしょう。
「Harmony OS」の立ち上げによって、Appleの「iPad」シリーズと同様にOSと最終製品の両方を手にしたHuaweiですが、「Pro」の名称を冠する「MatePad Pro」では競合となるAppleの「iPad Pro」をかなり意識しているようです。
「MatePad Pro」のモデル構成を持ち運びしやすい10.8インチモデルとより大きなスクリーンを利用できる12.6インチモデルの2モデル構成とし、「iPad Pro」のモデル構成に対抗できる製品構成を揃えました。
また、今回のモデルで新しく搭載したわけではありませんが、4096段階の筆圧感知に対応するM-Pencilを使ったスムーズな手書き機能に「Harmony OS」による手書き文字認識機能を追加したり、M-Pencilのマグネット吸着による充電方法、「Folio Cover」や「Smart Magnetic Keyboard」といったアクセサリ類の形状など、随所に対抗意識を垣間見ることができます。
それでいて、ワイヤレス充電とワイヤレス給電という「iPad Pro」にはない機能も搭載したり、Harman Kardonとのコラボレーションによるハイクオリティスピーカーを搭載するなど、単なる模倣ではなく常にAppleを上回ろうとする姿勢を見ることができます。
スペック面では「iPad Pro」にしっかり対抗してきており、Androidタブレットを大きく引き離している「MatePad Pro」にとって残る課題は「Harmony OS」による独自のエコシステムがどれだけスムーズに市場に受け入れられるかという点にかかってくるでしょう。
日本市場への投入はこの発表会の時点では明らかにされておらず、日本法人のホームページにも新しい「MatePad Pro」、「MatePad 11」は掲載されていないため、現在のところ発売されるのかどうか、いつ頃発売されるのかについては不明となっています。
新しい「MatePad Pro」のポテンシャル、「MatePad 11」のスペックに対する価格設定のお買い得度から見るとぜひとも早期に発売することを期待してしまいます。
今後、「Harmony OS」を搭載するHuaweiのタブレット製品は、「Androidタブレット」とは呼ばなくなるのでしょうが、どういった呼び方になるのでしょうか。
「Harmony OS」を搭載するタブレット製品が「MatePad」だけとなるのか、他社にも供給するのかにもよるでしょうが、iPadと同じように単純にモデル名の「MatePad」が定着するのか。
それともAndroidタブレットのようにOS名称とくっつけて「Harmonyタブレット」と呼ばれるのか。
単にメーカー名をつけて「Huaweiタブレット」と呼ばれるのか。
果たして、どういった呼ばれ方が定着していくのかも気になるところです。
今回新しく発表された「MatePad」シリーズ3機種のスペックは以下の通りです。
モデル名 | HUAWEI MatePad Pro 10.8 | HUAWEI MatePad Pro 12.6 | HUAWEI MatePad 11 |
価格 | 3799元~ (約65,000円~) | 799ユーロ~ (約106,500円~) | 399ユーロ~ (約53,000円~) |
OS | Harmony OS 2 | Harmony OS 2 | Harmony OS 2 |
サイズ | 縦:159mm 横:246mm 厚さ:7.2mm | 縦:184.7mm 横:286.5mm 厚さ:6.7mm | 縦:159mm 横:246mm 厚さ:7.1mm |
重さ | 460g | 609g | 450g |
ディスプレイ | 10.8インチ LCD WQXGA(2560×1600) リフレッシュレート120Hz | 12.6インチ有機EL WQXGA(2560×1600) リフレッシュレート60Hz | 10.95インチ LCD WQXGA(2560×1600) リフレッシュレート120Hz |
メインカメラ | シングルカメラ 1300万画素 | トリプルカメラ 1300万画素 800万画素 3D深度感知 | シングルカメラ 1300万画素 |
フロントカメラ | シングルカメラ 800万画素 | シングルカメラ 800万画素 | シングルカメラ 800万画素 |
SoC | Snapdragon 870 | Kirin 9000E | Snapdragon 865 |
メモリ | 8GB | 8GB | 6GB |
ストレージ | 128GB・256GB | 256GB | 64GB・128GB |
外部ストレージ | NM Card256GB | NM Card256GB | micdroSDXC |
バッテリー | 7,250mAh HuaweiSuperCharge対応 (ワイヤレス充電 ・ワイヤレス給電対応) | 100,050mAh HuaweiSuperCharge対応 (ワイヤレス充電 ・ワイヤレス給電対応) | 7,250mAh 22.5W高速充電対応 |
Wi-Fi | 802.11 a/b/g/n/ac/ax | 802.11 a/b/g/n/ac/ax | 802.11 a/b/g/n/ac/ax |
Bluetooth | 5.1 | 5.2 | 5.1 |
接続端子 | USB type-C(USB3.0) | USB type-C(USB3.1) | USB type-C(USB3.1) |
カラーバリエーション | Midnight Gray | Olive Green Matte Grey | Matte Grey |
その他 | M-Pencil(第2世代)対応 Harman Kardonクアッドスピーカー | M-Pencil(第2世代)対応 Harman Kardonオクタスピーカー | M-Pencil(第2世代)対応 Harman Kardonクアッドスピーカー |