昨今のハイエンドスマートフォンは性能の向上に伴い、発熱を抑える冷却性能の一つの焦点となっています。
各メーカーは競うように様々な冷却機構を採用していますが、Xiaomiは11月5日、「Loop Liquid Cool Technology」と呼ばれる新たな冷却技術を発表しました。
同社によると、これは航空宇宙産業で使用される冷却技術を参考にして開発したものであるとのこと。
Loop Liquid Cool Technologyは、「毛細管現象」と呼ばれる物理現象を利用した冷却技術になります。
仕組みとしては、チップセットからの熱により液体を蒸発させ、その熱を持った気体をコンデンサ内で冷却し、再び液体に戻します。そして、冷却した液体をエバポレーターに送り、このサイクルを循環させます。
この仕組みは従来のVC液体冷却と似ていますが、Xiaomiによると効率面で大きな違いがあると説明しています。
従来のシステムでは、気体と液体用で個別のチャネルがないため、特に高負荷時において高温の気体と低温の液体が混ざり合って冷却効率を阻害するとしています。
一方、新技術の Loop Liquid Cool Technology では、高温の気体と低温の液体が分離されているため、冷却効率を最大まで高めることができるとしています。
そして、2つ目の大きな変更点としては、通称「テスラバルブ」と呼ばれている、可動部品なしにパイプの形状だけで流体の逆止弁として機能するパルブを採用したことです。
これにより、気体が誤った方向に移動するのを防ぎつつ、液体がエバポレーターを通過できるようなり、冷却システム全体の気液循環を効率を向上させます。
Xiaomiは新技術「Loop Liquid Cool Technology」の冷却性能を従来の冷却システムと比較するために、Snapdragon 888搭載の同社フラグシップ機「Xiaomi MIX 4」を2台用意し、その内1台にLoop Liquid Cool Technologyを組み込んだカスタムモデルとして、通常モデルとの発熱テストを行いました。
テスト内容は、オンラインゲーム「原神」のスマホ版を60FPS(最高画質設定)で30分間プレイ。
すると、通常モデルの最高温度が52.9℃であるのに対し、カスタムモデルは5℃ほど低い47.7℃に抑えられています。
また、Snapdragon 888のCPU温度は通常モデルよりも8.6℃も低く抑えられています。
もちろん、カスタムモデルは発熱が抑えられているためフレームレートも60FPSで安定しています。
Xiaomiは従来の冷却システムと比較して2倍の冷却性能を提供することができると主張しており、2022年下半期に自社製品へ「Loop Liquid Cool Technology」を搭載することを予定しています。
さらに、「Loop Liquid Cool Technology」を採用した冷却システムの設計は柔軟性があり、他のコンポーネントに対応するように設計することができるとしています。
つまり、無駄なスペースが減り、スマートフォン内部のスペースをより多く確保できるようになるため、バッテリーやカメラモジュール、その他コンポーネントのためのスペースが増えることとなります。
source(1)