スマートフォンに可変式の望遠レンズを初搭載したSONYのフラグシップスマートフォン「Xperia 1 III」がdocomo、au、softbankの国内3事業者から7月9日から発売開始となりました。
圧倒的な性能と今モデルの目玉機能となる可変式望遠レンズの搭載、SONYの一眼レフカメラ「α」シリーズ譲りのカメラ性能とかなり魅力的な機種に仕上がっているため、XPERIAシリーズのファンはもちろんですが、他社スマートフォンを使用している方も買い替え対象として興味を持ったのではないでしょうか。
しかし、その圧倒的に魅力あるハイエンド性能を手にするための価格も「圧倒的に高価」であり、二の足を踏んでしまったかも少なくないでしょう。
(筆者自身も買い替え候補として考えていましたが、価格を見て理解しつつも二の足を踏んでしまった一人です。)
別記事で「日本のスマートフォンの平均購入単価は6万円」であり、「16万円以上のハイエンド購入者」は「1000人に6人」という調査結果を報じていますが、今回の「Xperia 1 III」はまさしくその「16万円以上」のハイエンド機種に該当してしまいます。
そんな高価すぎる「Xperia 1 III」ですが、意外にも各事業者の取り扱い価格はバラバラとなっています。
また、購入促進策として「2年後に次の機種に買い替える」際に残債を免除するプランも3事業者とも実施しており、高価すぎる価格による抵抗感を抑えるため、実質価格としてアピールするなど購入価格をややこしくしています。
今回は「Xperia 1 III」を取り扱う国内3事業者の価格を2年後の買い替えによる残債免除とあわせて比較してみます。
どの事業者から購入するのがもっともお得なのか、残債免除の落とし穴とあわせて購入の参考としてください。
ドコモ
まず、docomoの販売価格からみていきましょう。
docomoの「Xperia 1 III」販売価格は「154,440円」と16万円をギリギリですが、下回っており、今回比較する3事業者の中でも最安値となっています。
契約者数が多いため、SONYとの交渉でボリュームディスカウントを得ているのか、夏モデルの目玉となるフラグシップモデルのため、利幅をかなり削っているのかは定かではありませんが、購入時点の価格だけを見れば、docomoが最安値となります。
分割払いは36回払いとなり、月額「4,290円」を3年間支払い続ける必要があります。
1年から2年で次の機種に買い替えてしまうヘビーユーザーにとっては3年間支払いが続くのは負担となりますが、これだけの高性能モデルであれば、3年程度は問題なく利用できるでしょうから普通の使い方をする方にとっては心配する要素ではないでしょう。
買い替えサイクルが早いヘビーユーザーや何らかの理由で3年間の支払期間を待たずに買い替えを行うことになった方向けには「スマホおかえしプログラム」を利用することで、24か月目以降であれば残りの残債が免除となります。
残債の免除効果を最大限活用しようとした場合、24か月目に買い替えを行うことで、月額「4,290円」×12か月分の「51,480円」がスマホ返却に伴う下取りによって実質的な割引となります。
つまり「Xperia 1 III」の利用を2年で終える場合の実質負担額は「102,960円」となります。
この場合、当然ながら「Xperia 1 III」は買い替え後は利用できなくなります。
また、25か月以上利用してから買い替えする場合は免除される残債が減っていくため、割引効果も少なくなっていきます。
初めから10万円ちょっとで購入できるとは考えずに、15万円で購入した「Xperia 1 III」を利用して2年後に買い替えを行うなら購入額が実質的に割引となるチャンスが発生する程度に考えるのがいいでしょう。
au
次にauの販売価格ですが、docomoよりは高くなり「178,000円」となります。
分割払いは24回払いとなりますが、分割時の月額はdocomoとほぼ同じ「4,280円」に設定されています。
auで購入する方はこの分割月額だけを見ると危ないので注意が必要です。
毎月の支払は「4,280円」となりますが、最終回となる24回目に残額すべてを支払う必要があり、「79,560円」の支払いが発生する支払いスケジュールとなっています。
購入してから2年後に端末価格の40%を超える金額の支払いが発生するということをしっかり認識した上で購入する必要があります。
こう書いてしまうとauの販売方法に問題があるように思う方もいるかもしれませんが、auの販売方法がおかしいのではなく、月額の負担を抑えながら2年後には買い替えを行う「かえトクプログラム」によって残債は免除するのがauの販売方法の前提となっています。
この「かえトクプログラム」によって端末を返却することによって実質的な負担額は「98,440円」となるため、実質額が10万円を切り、docomoよりも安く済むことになります。
docomoと違ってかならず2年後に買い替えを行う前提で購入する必要があるため、2年後に魅力的なスマートフォンがない場合、かなり悩ましい選択を迫られることになりますが、逆に利用サイクルが2年を超えることないのであれば、docomoより安く済ませることできるややトリッキーなプランと言えるでしょう。
ソフトバンク
最後にsoftbankの販売価格ですが、3事業者中で最も高い「188,640円」に設定されています。
約19万円というと、かなり覚悟が必要な価格となりますが、softbankの場合は分割支払いの回数が48回払いとなるため、分割月額は「3,930円」と3事業者の中で最も負担を抑えられたプランになっています。
その代わりに48回、4年間にわたって支払いが発生することになります。
性能を考えると4年後でも利用できる可能性は低くないと言えますが、スマホの性能向上の早さや端末の故障率を考えると4年はちょっと長すぎるようにも感じます。
4年間待つのは厳しい方や2年程度で買い替えを行うヘビーユーザー向けには「トクするサポート+」を活用して端末の返却を行うことで最大24回分の残債が免除となります。
48回払いで24回分が免除となると実質価格が半額となるため、実質負担額は「94,320円」と3事業者中で最安値となります。
販売価格は最高値なのに、買い替えを行うと最安値になることもあるというちょっと不思議なプランになっているのが、softbankのプランと言えるでしょう。
総額が高くても毎月の負担額を少しでも抑えたい方や、2年後に必ず買い替えを行う前提で購入する方向けの販売価格と言えるでしょう。
また、トクするサポート+は利用中の端末をsoftbankに返却し、機種変更することで適用されるプログラムであるため、機種変更をしたくなくなった場合、端末を返却せずプログラムを適用させない選択肢を取ることもできます。
つまり、auと違って2年後にいい機種がなくて心変わりした場合は、そのまま分割月額を支払い続ければいいだけという点では、auより安心と言えるかもしれません。(ただし、本体代金は満額かかります。)
まとめ:Xperia 1 IIIの各キャリア別の価格
各社それぞれ価格、販売方法に意外な差異があることがわかってもらえたでしょうか。
総括すると、2年後の買い替えは考えずに一括購入など販売価格そのものを抑えたい方にはdocomoでの購入が最も適していると言えるでしょう。
2年後の買い替え必須となることを前提にできるならau、4年間買い替えを行わない場合は総額が最も高くなることを受け入れることできるのであればsoftbankも月額の負担が低いため、いい選択肢と言えるでしょう。
ただ、これだけ魅力ある機種でも高価すぎることにより総務省のデータでは16万円以上のハイエンド購入者は「1000人のうち6人程度」となるのでは、メーカー側もかなり厳しい状況になってしまうことが考えられます。
その一方で、売れ行きによってはメーカー側の負担が大きいとはいえ、それだけ高額な支払いを行った機種に対して別記事で報じているように「OSアップデートの保証が1回」というのは正直なところ受け入れがたいものがあるでしょう。
「Xperia 1 III」が国内市場でどこまで売れ行きを見せるのかは現時点では未知数ですが、魅力ある端末そしてその価格に応じたサポートはしっかりしてほしいものです。
国内3事業者の「Xperia 1 III」価格のまとめは以下の通りです。
docomo | au | softbank | |
販売価格 | 154,440円 | 178,000円 | 188,640円 |
分割回数 | 36回 | 24回 | 48回 |
分割月額 | 4,290円 | 4,280円 (最終回は79,560円) | 3,930円 |
(2年後) 買い替え時割引 | 51,480円 | 79,560円 | 94,320円 |
(2年後) 買い替えによる実質負担額 | 102,960円 | 98,440円 | 94,320円 |