アメリカを筆頭に、世界各国で中国製品に対する締め出しが行われていることは、皆さんも周知のことでしょう。日本でも、アメリカ国内で「TikTok」の使用を禁止する大統領令のニュースが入った際には、SNS上で多くの反響がありました。
そんな中、TikTokとともに使用禁止の大統領令が出された「WeChat」に対して、なんと複数のアメリカ企業が反論を起こしています。
今月11日にはディズニーやウォルマート、そしてAppleなどの数十社が、ホワイトハウスと電話会談したとThe Wall Street Journalが伝えました。 記事によれば、電話会談ではWeChatへ関連したすべての取引を禁止する大統領令の明確化、今後数週間以内に発令される大統領令の規制範囲の縮小についての議論を行ったようです。
Wechatは、中国テンセント社が提供している、世界で特に人気のチャットアプリです。ユーザー数は実に10億人以上と非常に多く、その大多数が中国人を占めています。
仮にWeChatを禁止され世界中のApp Storeから削除された場合、WeChatを使う中国のiPhoneユーザーにとっては不都合でしかありません。
それによってiPhoneに「WeChatが使えないスマホ」というイメージがつけば、中国でのiPhoneの販売状況が悲惨なものになるということは、容易に予想できます。
HuaweiのスマホでGoogleアプリが使えない、という状況と似たようなことが起きかねないのです。
これに関してアメリカ大統領、トランプ氏はこんな見解を示しています。
8月14日のホワイトハウスでの記者会見で、記者から「WeChat禁止の影響」について尋ねられた際のことです。
(以下、筆者翻訳)
記者:Appleなどの米国企業は、WeChat禁止の影響についてあなたに知らせたことと思います。Appleは、アメリカの企業がWeChatとの協力を禁止された場合、中国や同様の市場でiPhoneを販売できない可能性があると心配しています。どうこのことについてどうお考えですか?
トランプ氏:特に?
記者:なにか反応はないのですか?
トランプ氏:わが国の安全という点で良いこと(WeChatの禁止)をしなければならない。私たちは中国によってひどく失望されてきたのですから。
Appleからの懸念に対して単純な答えを、そして中国に対してのブレない姿勢を示したトランプ大統領。
個人的にはもう少しApple等からの意見に耳を傾けてほしいと思うところですが、彼がどんなことを考えていて、今後どうなるかはまだまだ不透明です。
AppleアナリストのMing-Chi Kuo氏は、「もしAppleがWeChatをApp Storeから削除せざるを得なくなった場合、iPhoneの出荷台数は世界で30%減少する可能性がある。」と話しています。
始まりはHuaweiの制裁でしたが、個人的にはここまで事が大きくなるとは思ってもいませんでした。
自国の超巨大企業からの懸念に対しても、あまり大きなアクションを起こさない大胆なアメリカの大統領には度々驚かされます。
平和的な解決はいつになったら訪れるのでしょうか。
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