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後編【カメラを使うなら必読】DxOMarkに信憑性はあるのか!?評価方法から結論まで、徹底検証!


投稿日:2020年5月14日 更新日:

DXOMARKのロゴ画像

※誤解を未然に防ぐために先に述べておきますが、これはあくまで筆者の個人的な分析を行った結果の記事であり、この記事の評価は絶対ではありません。一個人の判断であるので、読者の方は鵜呑みにはせず、あくまで参考程度にお読みください。

今回の記事では、DxOMarkのスマートフォンカメラの評価方法を徹底解説
そして、その評価と何人かの著名な海外ガジェットYoutuberの評価を比較
これによって、DxOMarkの評価の信憑性を明らかにしていきます
長い記事になりますので、今回は前編と後編にわけて記事をお送りします。最後までお付き合いください。

前編をまだ読んでいない方は、先にお読み下さい。

海外のYouTuberたちの評価は?

後半ではまず始めに、海外の著名なYoutubeチャンネルの動画を見ていきます。

海外ではガジェットのレビュアーがYoutubeをやっていることが多く、スマートフォンの名前を英語で検索すると、数多くの動画がヒットします。もちろんそれは、海外の方が発売した端末をすぐに手に入れることができるからです(考えてみれば当たり前のことです)。

しかし、再生数稼ぎが目的の、情報があまりない動画も存在するのが事実です。中には動画にカメラ比較と銘打って、同じ写真の加工前と加工後を並べて、違う端末で撮った比較だと主張する動画さえあるのです。
このような詐欺まがいの動画を紹介することを防ぐために、今回はYoutuber本人が顔を出している、かつチャンネル登録者数が多い(少なくとも数万人規模)動画のみを使用して、紹介していきます。

さらに、読者の方にも前回の記事でのDxOMarkの記事と比較しやすいように、(筆者が独自にしたことですが、)YouTuberの撮影した写真も同様に項目別の分類を行いました。

グループ1(P40 Pro S20 Ultra iPhone 11 Pro Max)

グループ1と同じ3端末のカメラをレビューしている有名Youtuberは、2人見つかりました。どちらの方も登録者数は10万人を超えており、日頃からスマートフォンのレビューを数多く投稿しているので、レビューの内容にも信頼がおけそうです。
動画のリンクは記事の最後に記載しますので、ご自身でもレビューを確認したいという方はご覧ください。

Exposure

どの機種も素晴らしいコントラストですね。それぞれに差はあまり感じられません。

しかしWinget氏が指摘したのは、逆光下での太陽の扱いです。S20 Ultraは残念なことに、太陽が完全に大きな球体になってしまっています。iPhoneはHDRらしい色のコントラストで、P40 Proはより自然な空と太陽を映せています。

Color

どれも一見素晴らしい出来ですが、瓦の模様や水面など細かいディテールは、iPhoneは一歩遅れているようです。また、左右の2枚よりも全体的に青みがかかっています。Winget氏は、P40 Proが一番だと述べています。

これはDxOMarkでもあった、肌色の表現の比較の写真です。
やはりP40 Proが一番自然ですね。iPhoneは黄緑が強く、S20 Ultraは黄色が強いようです。この中ではiPhoneが一番不自然に見えます。
Winget氏はこの後フロントカメラでも同じ比較を行なっていますが、iPhoneを酷評しています。

こちらの1枚でも、S20 Ultraには同じ傾向が見られます。しかしMrwhosetheboss氏は、ここでiPhoneを称賛。iPhoneこそがスタンダードと評価しました。

Night

Mrwhosetheboss氏は夜景のレビューが少ないので、割愛します。
DxOMarkでは省略されたiPhoneですが、こちらではきちんと評価対象に入っています。
夜景モードなしでの1枚からは、差はあまり感じられず。iPhoneが若干暗めでしょうか。

夜景モードを使用しての一枚。
iPhoneが健闘しています。光が多い所では、P40 Proの夜景モードは明るくなり過ぎる様子です。夜空も汚く、左の木にもノイズが見られます。S20 Ultraにも同じ傾向が見られます。

こちらの写真では、私見ですがS20 Ultraが最も優秀でしょうか。P40 Proは明るくなりすぎて不自然になっており、iPhoneは中央のネオン( ?)のディテールが潰れています。Winget氏はやはり、P40 Proがイチオシのようです。

Zoom

この写真は、20倍デジタルズームでの1枚。ここでは細部のディテールの再現度を確認するため、画素数をフルに使う高解像度モードで写真は撮影されています。
ここは画素数が勝負の分かれ目でした。やはり108MPのS20 Ultraが1番良いですね。50MPのP40 Proもなかなかの完成度。しかし12MPのiPhoneは、比べるのが可哀想なほど残念な出来です。

しかし色が多く複雑な写真になると、強さを発揮するのはP40 Pro。右側の木の鮮明さは他の追従を許さないほど。やはりiPhoneはズームが苦手なようです。

Wide

ここは単純な画角勝負の1枚です。
当然ですが、DxOMarkの時と同じ結果になりました。P40 Proの画角の狭さが残念です。

おまけ

あまり普段撮影することがないシチュエーションですが、筆者が個人的に衝撃だった1枚です。
これはポートレートモードでの撮影ですが、この場合、自然なボケを表現するなら矢印付近の隙間のボケが必須です。残念なことにiPhoneはこの小さな隙間を検知できなかったよう。見るからにソフトウェア処理しましたと言わんばかりの様子です。他の分野では健闘していたiPhoneですが、ここは無残にも敗北。

グループ2(Find X2 Pro Mi10 Pro)

グループ2と同じ2端末を同時に評価していたYouTuberは、グループ1と同じく、2人いました。
しかし1人はイタリア語でのレビューでしたので、解説は断念…
この動画を投稿しているTechNick氏も、普段からスマートフォンの開封動画やレビューを公開していて、登録者数は約7万人。
動画のリンクは最後に記載します。

Exposure

2枚に差は感じられません。

Night

やはり夜景では大きな差が見られます。
Mi 10 Proは明るすぎるとしてTechNick氏は酷評しています。背景のディテールは見事ですが、空は夜のはずなのに青くなっています。2枚目のように光量が多い所でも、Mi 10 Proは明る過ぎるようです。看板の光がフレアのようになってしまっています。

Zoom

2枚の色味に、大きな違いがあります。
TechNick氏によると、建築物の色味はMi 10 Proの方が実物に近いとのこと。Find X2 ProはAIの補正によって空は青くなり、建築物は白っぽくなっています。
10倍にズームをしても、その傾向は変わらないようです。ですがどちらも一見違和感のない、素晴らしいクオリティ。しかし細部を見ると、Find X2 Proは毛羽立ったようなディテールが散見されます。その点Mi 10 Proは安定していますね。

Bokeh

この項目に相当する写真はあまり見つからず、上の2枚が限界でした。
確認できるポイントは1つです。Mi 10では帽子のつば(バイザー)が背景と判定されてボケてしまっています。比較はできませんが、Find X2 Proはそつなく撮れていますね。

検証結果の分析

グループ1(P40 Pro S20 Ultra iPhone 11 Pro Max)

3つの端末のDxOMarkのスコアの順位に、問題はありません。

Exposure、Color、Zoom、Wideの項目では、DxOMarkと2人のYouTuberの評価は概ね一致しています。
Colorでは、特にS20 Ultraにおける人肌が黄色味を帯びてしまう現象が、どの写真でも見られました。
Zoomにおいても、規則的な模様が被写体の写真では108MPのセンサーを持つS20 Ultraが有利でしたが、概ねP40 Proが優れている様子です。

しかし、評価が異なる項目もあります。

Colorでの人が被写体の写真の評価では、P40 ProとiPhone 11 Pro Maxのどちらが良いかという点で、2人のYouTuberの意見が割れました。撮影するシチュエーションによってはiPhoneの方が自然に撮れることがある、ということがわかります。

また、決定的なのが、夜景の評価です。
Winget氏の動画を見ると、光量が比較的多いシチュエーションをP40 Proで撮影すると、明るすぎる不自然な写真になることがあるとわかりました。これはWinget氏も言及しています。この点に関しては、どうやらDxOMarkでは触れられていないようです。
また、iPhoneが思ったよりも健闘していたのも印象的でした。
DxOMarkがiPhoneで撮影した写真を掲載していないので、直接の比較はできません。けれども、DxOMarkのスコアの差(約10点)ほど、実際の夜景のクオリティに差は感じられないのではないか、というのが筆者の率直な意見です。

さらに気になったのが、YouTuber2人の発言。どちらも最終的には「P40 Proがベスト」だとしていますが、その一方で多くの写真のレビューで、「これは好みの問題だ」と言うことがありました。彼らがDxOMarkのページを見たことがあったのかどうかはわかりませんが、これは筆者と同様、DxOMarkのスコアの差ほど、実際の写真に差は感じられないと思った、ということではないでしょうか?

グループ2(Find X2 Pro Mi10 Pro)

この2端末に関してのDxOMarkの評価も、概ね納得できるものでした。

Exposure、Night、Zoom、Bokehの4項目を比較しましたが、YouTuberの写真からはほぼ全ての項目でDxOMarkの評価と同じ傾向がみられました。特にNightでは、シチュエーションが異なるもののMi 10 Proの光量過多の様子が、DxOMarkと同様にみられました。

ただ、Zoomの項目の写真では、少し気になった部分があります。Find X2 Proの写真には青み、白みがかかるものの、2端末のクオリティの差はDxOMarkの評価よりも少なかった印象です。印象、とあえて主観的な言葉を使いましたが、その差は誰にでもわかるほど、明らかなものではありませんでした

NickTeck氏は動画の最後に、「Find X2 Proが優れていると思う」と述べています。しかし、「やはり最後は個人の好みだ」とも言っています。

筆者も、NickTeckと同意見です。Mi 10 ProとFind X2 Proはそれぞれ得意不得意な項目はありつつも、どちらも概ねハイレベルな写真を撮影できます。スコアに差をつけるならそれは1点か多くても2点ほどになり、大きな差はないと思います

結論

以上の議論を踏まえて、DxOMarkの信憑性についての結論を述べます。

まず、グループ1に関しては、順位に変更はありません。しかし前述の通り、スコアの5点または6点の差ほど、写真のクオリティに差はみられないように感じました。
グループ2に関しても、DxOMarkの評価に不満はありません。スコアが同じことについても、大いに理解ができます

これによって、前編で述べた
①特定のメーカーの端末に対して、明らかなスコアの優遇をしていないかどうか(公平性)
②スコアの差がユーザーの声に見合ったものなのかかどうか、つまり素人目で見てわかる違いがあるのか(有効性)
は示されました。

よって筆者は、DxOMarkの評価は公平かつ有効で、100%ではないが十分に信憑性がある、と考えます

記事のまとめ

結論ではDxOMarkは十分信頼に値すると述べましたが、情報を収集している間に、DxOMarkの評価方法について気になることが2つほど見つかりました。

1つ目は、写真のサンプル数が少ないことで主観的な評価に見える、ということ。
同じ項目の評価をするにしても、シチュエーション次第では写真の傾向は大きく変わります。今回のP40 Proの夜景がいい例です。光量が少ないシチュエーションでは適度な明るさのノイズのない写真が撮れるのに対して、光量が多いと途端に崩れた不自然な写真になります。
ということは、少ないサンプル数での印象の操作が可能である、ということになります。
今回筆者はYouTuberのレビューの抜粋を紹介しましたが、その紹介する写真を選定する時点で、すでに筆者の主観がはたらいています。同じように、YouTuberも動画を投稿する際に、主観的に使用する写真を選定しているはずです。
DxOMarkはその点を留意して記事を公開してるはずですが、写真の数が少ないため、どうしても写真の主観的な取捨選択は発生しているはずです。

2つ目は、評価する項目ごとに比較する端末を変えている、ということです。
一例をあげましょう。P40 Proの評価では基本的にS20 UltraとiPhone 11 Pro Maxとの比較を掲載しています。しかし、ExposureやColorの一部分でMi 10 Proが登場したり、Nightの項目でiPhoneの写真が掲載されていない、ということがありました。
これは見方によっては、評価と矛盾するクオリティの写真は掲載しない、もしくは明らかに劣った写真の機種と比べることでスコアをあげようとしているのでは、と考えることもできてしまいます。

DxOMarkは公営ではなくあくまで営利企業であるので、100%公正な評価を下すのは難しいと思われます。わかりやすいスコアでカメラの良し悪しがわかるので、評価は絶対だとついつい盲信しがちですが、それは間違いです。

結論の段落でも述べましたが、営利的な企業、人間が評価している以上、1つの評価を鵜呑みにするのは危険です(もちろんこれを書いている筆者の意見も、です)。ネットリテラシーという言葉もあるように、必要かつ正確な情報は、自分で手に入れるしかありません

スマートフォンのカメラの違いを実機を触らずに知りたい場合は、DxOMarkの評価を中心にしつつ、YouTubeのレビュー動画やブログの記事など、多くの情報に触れて、自分なりの取捨選択を下すのが一番です。

長くなってしまいましたが、最後までお読みくださり、ありがとうございました。

source
(Mrwhosetheboss氏の動画)
(Danny Winget氏の動画)
(NickTeck氏の動画)
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