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【サブ回線ユーザーは必見】楽天モバイルの0円廃止に伴い、楽天経済圏での損益分岐点を考える


投稿日:

Rakuten UN-LIMIT VII

既報の通り、楽天モバイルは料金プランを7月から「Rakuten UN-LIMIT VII」に刷新し、データ通信量が1GB以内に収まるライトユーザー、サブ回線ユーザーに対する「利用料金0円」プランを廃止することになりました。

利用量が少ないとはいえ、加入者に対して回線管理コストすら求めない料金プランは破格なプランであり、見直しはある意味当然と見ることもできるでしょう。
ただ、約1年前の発表、それ以降の宣伝で散々「0円」でも利用できることをアピールしていたことを考えるとちゃぶ台返しを食らった印象を持つユーザーも少なくないでしょう。

新しい料金体系が7月から適用

「Rakuten UN-LIMIT VII」の発表の場で楽天モバイル代表取締役会長の三木谷氏は既存ユーザーに「0円」のまま提供し続けることも考えたが、電気通信事業法に抵触することが判明したため、断念したとも語っていますが、そうであるならばまだ1年程度しか運用していない料金プランなのだから変更しなければいいだろうと思う方も少なくないのではないでしょうか。

電気通信事業法に抵触することも理由の1つであるのでしょうが、どちらかというと本音は楽天グループの決算発表の中で出たという「0円でずっと使われても困る」というコメントの方でしょう。

ただし、今回の料金プラン変更が改悪ばかりになっているかというとそういうわけではありません。
誤解のないように言っておくと、楽天モバイルをメイン回線として利用していて、月々のデータ通信量が1GBより多くなってるユーザーには何の害もありません。
むしろ料金は変わらないのに楽天市場のポイント還元率をアップされるなど、メリットしかないプラン変更と言えるでしょう。

ですので、楽天モバイルユーザーの方でメイン回線として利用していて現在も月々の利用料金が発生している方ここから先は読まなくていいでしょう。

ここから先に関係してくるのは、月々のデータ通信量が1GBに満たない超ライトユーザー楽天モバイルをサブ回線として保持しているユーザーが対象となります。
「0円」が撤廃され、料金が発生する代わりにポイント還元率を増やすなど楽天グループとの連携を強化した「Rakuten UN-LIMIT VII」が、月々のデータ通信量が1GBに届かないユーザーにとってメリットがあるのかどうか見ていきましょう。

0GB利用でも980円の料金が発生

まず、今回の新料金プラン「Rakuten UN-LIMIT VII」でもっとも衝撃的だったのが「1GB未満」の利用であっても毎月「1,078円」の回線維持費がかかってくることになります。
そのため、この「1,078円」の回線維持費を相殺してくれるメリットがあるかどうかにかかってくると言えます。

とはいえ、7月から10月までの「4か月間」は1GBまでの利用に留まるユーザーに対してはプラン料金の「1,078円」に相当するポイントが還元されるため、実質無料の状態が継続されます。
そのため、10月までにどうするかを判断し、11月以降も楽天モバイルの契約を維持するかどうかを決めればいいことになります。

10月まではひとまず安心の実質無料

なお、新たに最低でも「1,078円」の支払が発生する料金プランになるものの、docomoのahamo、auのpovo2.0、ソフトバンクのLINEMOと比べると価格競争力はしっかり残しているとされる「Rakuten UN-LIMIT VII」ですが、楽天モバイルはMNOとしては最後発であり、利用できる周波数帯がライバル各社と比べるとハンデがある状態であり、通信エリアや速度はライバル各社と同等とは言えない弱点があります。

エリアは拡大しているがまだまだ

以前よりは圏外表記になる箇所は減りつつありますが、楽天モバイルのホームページ上では楽天モバイルエリアと表示されていても、実際の通信はパートナー回線を利用していたり、つながっているけど通信速度が非常に遅いということは少なくありません。(筆者自身の実体験も含みます。)
そのため、エリアの広さや通信速度にデメリットはあるものの、料金が非常に安いことで利用しているユーザーも少なくないでしょう。

メイン回線としてしっかり利用してくれる熱量の高いユーザーへのシフト値上げしてもまだライバル各社より安いんだから大丈夫という判断はまだ早かったのではないかという気もします。

「Rakuten UN-LIMIT VII」による楽天グループサービスとの連携強化として大きく取り上げられているのが、「楽天市場のお買い物」でポイントが「最大6倍」に強化されます。
この「最大6倍」だけを聞くと、「1,078円」なんて全然問題じゃないように感じますが、ここにはトリックが仕掛けられているため、注意が必要です。

ポイント最大6倍はトリック

「最大6倍」の内訳をよく見てみると、楽天会員として「通常のお買い物」で「+1倍」「楽天モバイル利用」で「+1倍」「楽天カード利用」で「+2倍」、さらに「楽天モバイル利用」で追加の「+1倍」ダイヤモンド会員ならさらに「+1倍」となっており、全部合わせて「最大6倍」となっています。
このうち、「通常のお買い物」で「+1倍」、「楽天モバイル利用」で「+1倍」、「楽天カード利用」で「+2倍」の「4倍」までのポイント還元は既に実施されている取り組みであり、料金プラン変更に伴うものではありません。

料金プラン変更によって追加されたのは「楽天モバイル利用」で追加の「+1倍」ダイヤモンド会員ならさらに「+1倍」「2倍」分だけとなります。
そして「楽天モバイル利用」については特に問題はありませんが、もう1つの「ダイヤモンド会員」についてはさらにもう1つ注意が必要となります。

ポイント付与①買い物ポイント②楽天モバイルポイント③楽天カード通常ポイント④楽天カード特典ポイント⑤新プラン追加分
楽天モバイルポイント
⑥新プラン追加分
ダイヤモンド会員ポイント
獲得条件楽天会員楽天モバイル加入者楽天カードによる決済楽天カードによる決済楽天モバイル加入者楽天ポイントの
ダイヤモンド会員限定分

楽天市場を日常使いしている方であればご存じの方も多いでしょうが、楽天グループのサービスでは楽天ポイントの獲得状況によって会員ランクをつけています。
この楽天ポイントの会員ランクの中で最上級のランクが「ダイヤモンド会員」となっており、該当する場合はさらにポイントがもう「1倍」追加されるという建付けになっています。

ダイヤモンド会員になるためにはかなりの条件をクリアする必要がある

「ダイヤモンド会員」になるには「過去6か月で4,000ポイント以上、かつ30回以上ポイントを獲得し、かつ楽天カードを保有」という条件が付けられています。
過去6か月の間に30回以上というと、毎月5回は楽天市場で買い物をするなど、頻繁に何らかの楽天サービスの利用が必要となります。

「4,000ポイント」の獲得も楽天サービスは「100円で1ポイント付与」することが標準となっているため、単純計算で「過去6か月に40万円、月単位で見ると6万6,600円」の利用が必要となってきます。
しかも楽天市場で購入する際に追加でもらえるポイントアップ分はこの会員ランクの算定の対象外となっているため、楽天モバイル利用でポイントアップしているから大丈夫というわけではありません。

買い物以外でもマクドナルドやドラッグストアなど楽天ポイントカードを使ってポイントをためる分は会員ランク算定の対象になるため、必ずしも「過去6か月に40万円」の出費が必要になるわけではないでしょうが、楽天サービスのヘビーユーザーでないと届かない会員ランクと言えるでしょう。

ダイヤモンド会員条件(再掲)月平均(再掲)月平均買い物額
楽天市場
買い物回数
過去6か月に30回以上5回以上
獲得ポイント過去6か月に4,000ポイント666ポイント獲得6万6,600円楽天市場で購入
(買い物のみで達成する場合)

とはいえ、「楽天モバイル利用」を継続することで新料金プランでは楽天市場での買い物ポイントが追加で「+1倍」うまくすれば「ダイヤモンド会員」になって、あわせて「+2倍」になるのでデメリットはないと感じた方もいるでしょう。
しかし、先ほども触れましたが、楽天サービスは「100円で1ポイント付与」することが標準となっています。
「+2倍」のポイントアップがついても、「100円」の支払に対して「2ポイント」が追加でもらえるにすぎません。

「Rakuten UN-LIMIT VII」の最低料金「1,078円」を相殺しようと考えると、ダイヤモンド会員であっても単純計算で毎月楽天市場で「50,000円」の買い物が必要となってきます。
(それでも消費税で利用料が1,000円を超過するため、完全に相殺はできない計算となります。)
「ダイヤモンド会員」ではない場合は「+1倍」だけとなるため、ダイヤモンド会員と同じように相殺するためにはさらに追加で「10,000円」の出費(合計60,000円)が必要ということになります。
ただ、そのペース(毎月60,000円)の買い物を毎月楽天市場で実施すると「ダイヤモンド会員」の条件(月平均で66,600円の買い物)に大きく近づいていくとも言えます。
そこまで毎月楽天市場で買い物をして楽天モバイルの利用料金を現行プランと同じ水準にすることができるユーザーは非常にレアなユーザーと言えるでしょう。

楽天モバイル
利用料
(1GB未満の場合)
楽天ポイント獲得分利用料・ポイント
差し引き
現行プラン
楽天市場で5万円購入
0円2,000ポイント
(5万円/100円×1ポイント×4倍)
2,000円分お得
新プラン
楽天市場で5万円購入
(非ダイヤモンド会員)
1,078円2,500ポイント
(5万円/100円×1ポイント×5倍)
1,422円分お得
(お得分が678円減)
新プラン
楽天市場で5万円購入
(ダイヤモンド会員)
1,078円3,000ポイント
(5万円/100円×1ポイント×6倍)
※新プランによるポイント増分は1,000ポイントまでのため、獲得上限
1,922円分お得
(お得分が78円減)
新プラン
楽天市場で6万円購入
(非ダイヤモンド会員)
1,078円3,000ポイント
(6万円/100円×1ポイント×5倍)
※新プランによるポイント増分は1,000ポイントまでのため、獲得上限
1,922円分お得
(お得分が78円減)

次に月に「5万円」以上の楽天市場での買い物を行わない場合はどうなるのかについてもシミュレーションしてみましょう。
仮に月々の楽天市場での買い物が「3万円」と仮定します。
毎月「3万円」だとダイヤモンド会員になるのは難しいでしょうから、最大「5倍」のポイント還元を受けることになります。
「3万円」の1%、「300ポイント」が「5倍」になると「1,500ポイント」が還元されることになります。
このうち、「Rakuten UN-LIMIT VII」によって増えたポイント「楽天モバイル利用」の追加「+1倍」分となるため、料金プラン変更によって「1,200ポイント」から「1,500ポイント」となり、「300ポイント」増えた計算となります。

楽天モバイル
利用料
(1GB未満の場合)
楽天ポイント獲得分利用料・ポイント
差し引き
現行プラン
楽天市場で3万円購入
0円1,200ポイント
(3万円/100円×1ポイント×4倍)
1,200円分お得
新プラン
楽天市場で3万円購入
(非ダイヤモンド会員)
1,078円1,500ポイント
(3万円/100円×1ポイント×5倍)
422円分お得
(お得分が778円減)

ポイント還元が増えた分料金プラン変更によって増えた支払との差額は「778円」となるため、これが高いと感じるかどうかにかかってくると言えます。
単にデータ通信量が「1GB」に満たない超ライトユーザーであれば、支払いは増えたものの、他社と比較すると高いわけではないため、許容範囲と言えそうです。
後は日常利用がほとんどないサブ回線ユーザーにとってほとんど利用しない回線の維持コストとして許容できるかどうかにかかってくるでしょう。

解約すると楽天モバイルの基礎ポイントもなくなる

ただ、もう1つ踏み込んで考えてみましょう。
仮に回線の維持コスト増を嫌って「楽天モバイル」を解約したとします。
そうすると、「1,078円」の回線維持コストは発生しませんが、ポイントアップもなくなることになります。
「楽天モバイルの利用」では、従来から存在していた「+1倍」「Rakuten UN-LIMIT VII」によって新たに発生する追加「+1倍」のポイントが還元されるため、「楽天モバイルの解約」を行うと、この「2倍」分のポイントを得ることができなくなります。

先ほどの例と同じく楽天市場で「3万円」の買い物をすると、ダイヤモンド会員以外の「Rakuten UN-LIMIT VII」では「5倍」で「1,500ポイント」の還元を受けれたところを、「楽天モバイル」の解約によりポイント還元が「3倍」となり「900ポイントの還元にとどまってしまいます。
結果、「1,078円」の支払は不要になるものの、ポイント還元が「600ポイント」少なくなり、差し引きで「478円」の出費が不要という計算になり、先ほどのシミュレーションよりも実質的な出費額が減ることになります。

楽天モバイル
利用料
(1GB未満の場合)
楽天ポイント獲得分利用料・ポイント
差し引き
現行プラン
楽天市場で3万円購入
0円1,200ポイント
(3万円/100円×1ポイント×4倍)
1,200円分お得
新プラン
楽天市場で3万円購入
(非ダイヤモンド会員)
1,078円1,500ポイント
(3万円/100円×1ポイント×5倍)
422円分お得
(お得分が778円減)
楽天モバイルを解約
楽天市場で3万円購入
(非ダイヤモンド会員)
0円900ポイント
(3万円/100円×1ポイント×3倍)
900円分お得
(ポイント還元が600ポイント減少するため判断に迷うところ)

約「500円」のサブ回線維持費を不要な出費とするか、それぐらいで済むなら残しておいてもいいかと感じるかは受け止め方にもよりますが、楽天市場での買い物が月々「5万円」を超過、もしくはそれに近い金額の買い物を行っているかどうかで判断が変わってくるでしょう。
(ダイヤモンド会員をキープできている楽天サービスのヘビーユーザーの場合は、楽天市場での購入額が5万円に達している場合、解約すると逆に獲得ポイントが低くなるため、維持しておいた方がいいでしょう。)

楽天モバイル
利用料
(1GB未満の場合)
楽天ポイント獲得分利用料・ポイント
差し引き
現行プラン
楽天市場で5万円購入
0円2,000ポイント
(5万円/100円×1ポイント×4倍)
2,000円分お得
新プラン
楽天市場で5万円購入
(非ダイヤモンド会員)
1,078円2,500ポイント
(5万円/100円×1ポイント×5倍)
1,422円分お得
(お得分が678円減)
楽天モバイルを解約
楽天市場で5万円購入
(非ダイヤモンド会員)
0円1,500ポイント
(5万円/100円×1ポイント×3倍)
1,500円分お得
(ポイント還元が1,000ポイント減少するため判断に迷うところ)
楽天モバイル
利用料
(1GB未満の場合)
楽天ポイント獲得分利用料・ポイント
差し引き
現行プラン
楽天市場で5万円購入
0円2,000ポイント
(5万円/100円×1ポイント×4倍)
2,000円分お得
新プラン
楽天市場で5万円購入
(ダイヤモンド会員)
1,078円3,000ポイント
(5万円/100円×1ポイント×6倍)
1,922円分お得
(お得分が78円減)
※新プランによるポイント増分は1,000ポイントまでのため、獲得上限
楽天モバイルを解約
楽天市場で5万円購入
(ダイヤモンド会員)
0円1,500ポイント
(5万円/100円×1ポイント×3倍)
1,500円分お得
(ポイント還元が1,500ポイント減少するため解約が損となる)

あとは差額によって発生する料金を許容できるかどうか、途中でも触れたエリア、通信速度が現状ではまだライバル各社と比べて見劣りする部分が残っていることをどう評価するかでしょう。

7月から新しい料金プラン「Rakuten UN-LIMIT VII」は適用され、今まで「0円」で利用していた方にも支払いは発生しますが、7月から10月までの支払料金「1,078円」分のポイント還元によって実質無料であることから10月までに他の楽天サービスの利用状況も見ながら楽天モバイル維持するか、解約するかを決めればいいでしょう。
(支払料金分のポイント還元によって実質無料であることに加えて、上記で説明した楽天市場での獲得ポイントが増加している分、最後のお得期間と判断するユーザーも少なくないと予想されます。)

特典内容は新料金プランそのものとは関係がなく、期間限定のものが多いため要注意

楽天モバイルの赤字体質の改善熱量の高いユーザーを重視したい事情も理解できるものの、あれだけ声高に宣伝していた料金プランを1年と少しで撤回してしまうこと、ポイント還元率を増やすなどのプラス要素はあるものの、若干ペテンにかけているようにも見える「最大6倍」ポイント増新料金プランとは直接関係がない期間限定に過ぎない楽天グループサービスの無料キャンペーン、そしてまだまだエリア、データ通信速度がライバル各社と比べて見劣りすることを考えると、1年無料キャンペーンが終わった時よりも多くのサブ回線ユーザーが解約に進み、トッピングという考え方で基本料金を「0円」に抑えているauのpovo2.0に流れることも予想されます。
(既にahamo、povo、LINEMOがSNS等で勢いづきつつあり、povoについては加入手続きに時間がかかるようになり始めています。)

厳しい見方をすれば、ユーザーを一定数呼び込んだらプランをあっさり変更したり、いろいろ特典があるように見えてプラン内容とは無関係なものも入っているなど、過去に「Rakuten mini」の周波数をユーザーに断りなく変更したときにも物議を呼んだように楽天モバイルのサービスに対する姿勢を疑問視するユーザーも出てくるのではないかと考えることもできます。
果たして楽天モバイルユーザーが今後どういう判断をするのか、そして筆者自身もどうするかしばらく悩んでみようと思います。
どうしても0円で回線を維持したい場合はauのオンライン専用プラン「povo2.0」が最有力候補になることでしょう。

povo

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