スマホの料金競争によって格安スマホ事業者が雨後の筍のように次々に誕生しています。
それにともない、大手キャリアにしばられないSIMフリースマホの需要もどんどん増えていますが、そんな中「デュアルSIM」対応というキーワードも一緒に語られることが増えています。
この「デュアルSIM」とはいったいどういうものでしょうか?
「デュアル」というキーワードからなにかが「2つ」あることは想像できたとして、どういうことを指すのか、機能とうまく使うことで得られるメリットを紹介していきます。
目次
デュアルSIMを3行でまとめると、、、
- 1台のスマホに通信カード(SIM)を2枚使えること
- 2枚のSIMカードを使うことで1台のスマホで通信会社を使い分けることができる
- 格安スマホと大手キャリアのいいところ取りが可能になる
デュアルSIM規格の基本情報
SIMとは
SIMカードとは、「Subscriber Identity Module Card」の略で携帯電話の契約者番号や電話番号が記録されているICカードのことを言います。
電話番号、携帯電話としての契約情報が詰まっているため、このカードが入っていないと電話として通信することができないため、スマートフォンには必ず搭載されているカードです。
スマホの機種変更を行う際に、新しいスマホに小さなカードを入れ替えるのを見たことがあるかもしれませんが、その小さなカードがSIMカードです。
カードを入れ替えることで電話としての情報を入れ替えることができるため、機種変更時に簡単に電話としての機能を入れ替えることができます。
ちなみに、電話としての機能の入れ替えはSIMカードの入れ替えだけで済みますが、ドコモショップなどで機種変更にかかる時間が長いのは、SIMカードの入れ替え以外の諸手続き、ドコモなど事業者側でスマホの機器情報の登録等の事務手続きがあるからです。
そのため、SIMフリースマホや手持ちのスマホが複数台ある場合、SIMカードを入れ替えれば、気軽に電話としてのスマホを切り替えることができます。
デュアルSIMとは
そんなスマホには必ず必要となるSIMカードですが、電話番号や契約者番号は1台のスマホにつき1つになるため、通常はスマートフォンに入れることができるSIMカードは1枚となります。
しかし、その常識を覆し、SIMカードを2枚入れることができるスマートフォンが存在します。
そういったスマートフォンやSIMカードのことを2枚のSIMカードを入れることから「デュアルSIM」または「デュアルSIM対応」スマートフォンと言います。
デュアルSIMのメリット
スマートフォンは1台だけなのにSIMカードを2枚入れても電話番号は1つだろうに、なんの意味が?と思う方もいるでしょう。
デュアルSIMでは、SIMカードそれぞれの電話番号を認識できるため、1台のスマートフォンに2つの電話番号を持たせることができます。
個人用と仕事用で複数の電話番号を持っている方や、データ通信用に格安スマホの契約をした場合、携帯番号は複数持つことになります。
スマホも同じように複数持つことになるのが普通ですが、性能の優れた機種だったり、使い勝手、さらに入っているデータの利用を考えるとできれば1つのスマホで済ませた方がいいでしょう。
ただ、1つのスマホで電話番号を切り替えるためには通常、SIMカードをいちいち入れ替えて、再起動をする必要があり、非常に手間がかかります。
しかし、デュアルSIMに対応している場合、1つのスマホに2枚のSIMカードを入れることができるため、SIMカードの入れ替えや再起動という手間をかけずに2つの電話番号を利用可能となります。
個人用と仕事用の電話を持っている場合にSIMカードを入れ替え中に外している方のSIMカード宛に大事な電話がかかってきた場合、非常にデメリットが大きくなりますが、デュアルSIMの場合、一部の例外を除いてそういった事態を避けることはできます。
また、データ通信用に格安スマホのSIMカードを契約している場合、通話可能エリアや家族割などの都合もあり、大手キャリアをメインの電話としつつ、データ通信用に格安スマホのSIMカードを契約し、デュアルSIM対応機種を使えば、データ通信にかかる料金を大きく下げることができるというメリットが発生し、大手キャリアの契約を残したまま格安スマホの利便性を活かすことができるようになります。
デュアルSIMのデメリット
複数の電話番号を持っている人や格安スマホで料金を下げるためにいいことがたくさんのデュアルSIMですが、デメリットとしては、まず利用可能なスマートフォンが非常に限られるという点があげられます。
以前よりは複数の電話を持つ方は増えているとはいえ、まだまだスマートフォンを複数持ちする人は多数派ではありません。
そのため、デュアルSIMの需要も限られた人をターゲットとしてしまうため、どの機種でもデュアルSIMが使えるというわけでなく、自分の気に入った機種、欲しい機種がデュアルSIMに対応していなければ使うことができないというデメリットがあります。
例えば、ドコモなどの大手キャリアから発売されているXPERAIやAQUOS R、GALAXY Sといったハイエンドモデルは通常、デュアルSIMには対応していません。
基本的にデュアルSIMに対応しているスマートフォンは海外メーカー、それもSIMフリースマホが対象となってきます。
ただ、HUAWEIのP30のようにSIMフリースマホの中にもハイエンドでかつデュアルSIMに対応する機種も登場しつつあるため、改善傾向にはありますが、機種選びの幅で制限を受けることは事実です。
またデュアルSIMに対応しているが、microSDカードの差込口と共用というスマートフォンもあります。
こういったスマートフォンの場合、デュアルSIMを利用すると、microSDカードが利用不可となるため、データ保存の容量が非常に限られたものになってしまうことも注意が必要なデメリットと言えます。
デュアルSIM規格について
デュアルSIMが1台のスマホに2枚のSIMカードを入れることができるということは分かったと思います。
次にデュアルSIM規格の種類について紹介します。
2枚のSIMカードを使うことができるデュアルSIM規格には4種類の規格があり、それぞれSIMカードの使われ方が異なります。
デュアルSIM規格だから同じと思って選ぶと思わぬ違いに後悔するかもしれません。
しっかり規格ごとの違いを確認してから選ぶようにしましょう。
デュアルSIM規格:DSSS(Dual SIM Single Standby)
デュアルSIMが「シングルスタンバイ」、つまり通信は片方のみ待受けとなる方式のことを指します。
2枚のSIMカードを差せるだけで、実際の通信は手動で指定した片方のSIMカードのみと行うことになるため、指定しなかった方のSIMカードはスマホにセットされているだけとなります。
その間に指定していないSIMカード宛ての発信があったとしても、待ち受け状態にないため、着信しない方式となります。
切り替えの度にSIMカードを差し替えるよりは手間が少なくなりますが、デュアルSIMであることのメリットはほとんどない方式となるため、現在ではあまり選ぶ意味はない方式と考えた方がいいでしょう。
デュアルSIM規格:DSDS(Dual SIM Dual Standby)
デュアルSIMが「デュアルスタンバイ」、つまりそれぞれ待ち受け状態として着信可能な方式を指します。
DSDSという略語はデュアルSIM対応スマホでよく聞かれる単語でもあり、現在のデュアルSIMの標準的な方式といえるでしょう。
ただし、この方式にも制限はあって、2枚のSIMカードをどちらも4Gに指定することができない制限が存在します。
通話用のSIMを4Gとした場合、データ通信用は3Gになってしまい、通信速度に制限が発生してしまいます。
デュアルSIM規格:DSDV(Dual SIM Dual VoLTE)
DSDVは、DSDSの方式の問題点を改善した方式と言えます。
デュアルSIMを「デュアルVoLTE」として利用できます。
DSDSと同様にそれぞれのSIMが同時待受け可能であることに加えて、DSDSでは片方が3Gになっていた問題点を解決し、両方とも4G方式で利用できるため、データ通信速度の制限を解決することができます。
デュアルSIM規格:DSDA(Dual SIM Dual Active)
DSDS、DSDVどちらもデュアルSIMどちらも同時に待受け状態を実現できますが、通信自体は同時に行うことはできず、片方が通信中はもう片方は制限を受けることになります。
その問題点をDSDAでは、デュアルSIMを「デュアルアクティブ」、どちらも同時利用できるという通信中の制限を改善した方式になります。
ただし、この方式も万全ではなく、DSDVのメリットにあった両方とも4Gとして利用する機能はなく、DSDSと同様に片方は4G、もう片方は3Gとしての通信に制限されてしまいます。
さらにDSDAは現在のところ日本国内で対応している機種の流通がなく、事実上選択できない規格とも言えます。
まとめ:デュアルSIM対応スマホは買いか否か
デュアルSIMとはなにか、規格の説明と合わせてメリット・デメリットを紹介してきました。
さて、デュアルSIM対応スマホは買いなのでしょうか?
対応スマホが限られてしまうため、大手キャリアや格安スマホ1社とのみ契約している方で、現状に満足している人にとっては選択できる機種が制限されてしまうため、とくに購入を後押しする理由はないでしょう。
しかし、個人用と仕事用で複数の携帯番号を持つ必要がある方や、大手キャリアの安心感やエリア、通信速度の安定性を確保しつつ、格安スマホを組み合わせて通信料金を下げることを考える場合には1台のスマホで複数の番号を持つことができるデュアルSIMはかなり有力な選択肢といえます。
最後にデュアルSIM対応スマホを購入する場合は、どの規格に対応しているかは必ず確認するようにしましょう。
可能であればDSDVを対象としたいですが、最低でもDSDS対応とし、両方のSIMが同時待受けできるようにしたいところです。
条件に当てはまる方はデュアルSIM対応機種の中に気に入りそうな機種がないかという視点でもスマホ選びを行ってはいかがでしょうか。