様々な業界で「持続可能な成長」を意識した「SDGs」への取り組みが進んでおり、スマートフォン業界でもSHARPが「再生プラスチック」を35%使用した「AQUOS wish」を発表し、事業者側もシングルカメラでスペック的には目立ったところのないローエンドモデルにも関わらずauやsoftbankなど複数の事業者が採用し、注目を集めています。
商品サイクルの早いスマートフォンの素材に「再生素材」を使用することで資源をただ使うのではなく次期モデルを構成する素材には以前のモデルや別の製品のリサイクルも含まれているというSDGsへの取り組み姿勢は今後ますます進んでいくことが予想されます。
そういった世の流れの中で、間もなく「Galaxy Unpacked 2022」を開催するSamsungから同イベントで発表予定の新モデル(明言しないもののGalaxy S22シリーズと推定される)に「廃棄された漁網」から作られた「再生素材」を使用していることを発表しました。
スマートフォンと漁網と言われても結び付かない方が大半でしょう。
もちろん漁網の素材をそのまま使っているわけではなく、「廃棄された漁網」を素材とした「再生プラスチック」をGalaxyの新モデルの素材に使用しているということです。
再生素材であることに加えて、Samsungが国連食糧農業機関に報告した「毎年64万トンもの漁網が放棄され、廃棄されている」という事実に着目し、再生素材とすることで廃棄された漁網が「ゴーストネット」として海に漂い、魚を捕獲してしまう被害を減らすことに寄与するという意義ある取り組みと言えるでしょう。
SHARPが「再生プラスチック」を素材に使用していると発表した「AQUOS wish」と同様の流れであり、今後同様の取り組みは他メーカーにも広がることが予想されますが、販売数量が限定的となるローエンドモデルでなく、グローバル市場で大きなシェアを持つSamsungが多くの販売数量を見込むことができる次期フラグシップモデルのこうした取り組みを見せたというインパクトは無視できないでしょう。
こうした取り組みは勝ち負けで議論するようなものではありませんが、技術面に加えて社会的意義のある活動でもSamsungに水をあけられているように見える国内メーカーには頑張ってもらいたいと感じてしまいます。