Qualcommは、1月19日(現地時間)にSnapdragon 800シリーズとして新たなハイエンドSoC「Snapdragon 870 5G」を発表しました。
昨年12月にフラグシップSoC「Snapdragon 888」を発表し、XiaomiのMi11やSamsungのGalaxy S21シリーズのようにAndroidスマートフォンのフラグシップモデルでの採用例が発表され始めたQualcommのSnapdragon 800シリーズですが、早くも新しいハイエンドSoCがラインナップに加わりました。
プロセッサ名称は「Snapdragon 870 5G」で名称から5Gスマートフォン向けのハイエンドモデルであることと、現在のフラグシップSoC「Snapdragon 888」と前世代のフラグシップSoC「Snapdragon 865+」の間を埋めるハイエンドSoCの拡充モデルであることが推測されます。
発表されたスペック、SoCを構成する各要素を見ると、CPUは「Kryo 585」を採用しており、プライムコアとbigコアに「Cortex-A77」、littleコアに「Cortex-A55」、GPUコアに「Adreno 650」を採用する「Snapdragon 865+」と同じコア構成を基本としながら、CPUのクロック周波数が強化したモデルになっています。
しかし、現在のスマートフォンの性能を見る上で非常に重要視されるAI性能に関わるNPUの性能は最大15TOPSのパフォーマンスとなっており、最大26TOPSのパフォーマンスを発揮する「Snapdragon 888」には及ばないようです。
(※Snapdragon 870のWi-Fi性能は、Snapdragon 865+に劣る。)
ただ、その一方でプライムコアの最高クロック周波数は「Snapdragon 888」をも上回る「3.2GHz」となっており、モバイル向けSoCの中で最もクロック周波数の高いCPUを搭載しています。
総合点では「Snapdragon 888」に譲るものの、最高性能については肉薄する可能性があります。
この新しいハイエンドSoC「Snapdragon 870」は、MotorolaやOnePlus、OPPO、Xiaomi、iQOOといった各スマートフォンメーカーが次々と採用に名乗りを上げています。
早ければ今四半期中にも採用モデルが発表される可能性があるとのことで、最初に登場するスマートフォンがどのメーカーのどのモデルになるか、非常に興味を引きます。
また、ハイエンドSoCのラインアップにバリエーションが増えることで価格と性能のバランスがいい「良モデル」が出てくることにも期待が膨らみますね。
今回発表された「Snapdragon 870 5G」と現在のフラグシップSoC「Snapdragon 888」と前世代の「Snapdragon 865+」のスペックの共通要素、差異について以下にまとめておきます。
Snapdragon 865+ | Snapdragon 870 | Snapdragon 888 | |
CPU | Kryo 585 | Kryo 585 | Kryo 680 |
(prime core) | Cortex-A77×1 (3.1GHz) | Cortex-A77×1 (3.2GHz) | Cortex-X1×1 (2.84GHz) |
(big core) | Cortex-A77×3 (2.42GHz) | Cortex-A77×3 | Cortex-A78×3 (2.42GHz) |
(little core) | Cortex-A55×4 (1.8GHz) | Cortex-A55×4 | Cortex-A55×4 (1.8GHz) |
GPU | Adreno 650 | Adreno 650 | Adreno 660 |
NPU | 15TOPS | 15TOPS | 26TOPS |
Wi-Fi規格 | Wi-Fi 6E | Wi-Fi 6 | Wi-Fi 6E |
5G通信速度 | 7.5 Gbps | 7.5 Gbps | 7.5 Gbps |