Qualcommは1月18日、VodafoneとThalesと協力してiSIMを搭載したスマートフォンの実証実験を開始したと発表しました。
スマートフォンで通話やデータ通信を行うのに必要なSIMカード。今までは物理的に抜き差しする「nano SIM」が一般的でしたが、最近では端末内にSIMが内蔵されている「eSIM」に対応する通信事業者およびスマートフォンが増えつつあります。
ここに、新たに「iSIM」と呼ばれる次世代のソリューションが加わりそうです。
皆さんご存知のように、Qualcommはスマートフォン向けSoCとしてSnapdragonシリーズを提供しています。
このSoCにSIM機能を統合したものが「iSIM」と呼ばれるものです。Integrated SIM(統合型SIM)からiSIMと名付けられています。
eSIMは、端末内に別のチップを搭載する必要がありますが、iSIMを用いるとこれが不要になります。
当然、これまでSIMカードのために割り当てられていた筐体内のスペースも不要になり、筐体の設計の簡素化または、冷却機構を増やすなどでパファーマンスの向上を図ることもできます。
また、これまではスペースの問題でSIM機能を組み込むことのできなかった小型のIoT機器やウェアラブル端末にもSIM機能を組み込むことができるようになり、セルラー通信を可能とします。
さらにQualcommによると、iSIMはSoCにSIM機能が統合されるため、パフォーマンスおよびメモリ容量を向上できるとしています。
もちろん、通信事業者は既存のeSIMインフラを用いてiSIMの有効化が可能とのことです。
今回Qualcommが実用化の前段階として行なった実証実験は、ヨーロッパでVodafoneのネットワークを用いて行われました。また、スマートフォンにはSnapdragon 888を搭載した「Galaxy Z Fold 3」が用いられました。
Qualcommは早期の商業化を目指し、iSIMの研究開発を進めていくとしています。
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