HUAWEIは、5G通信モジュールを内蔵した専用ケースを発売することで、5G非対応の同社製スマートフォンを5G通信に対応させようと取り組んでいると伝えられています。
HUAWEIは依然として米国からの制裁下にあり、スマートフォン市場で苦境に立たされています。その一方で、同社は「Googleモバイルサービス(GMS)」の代わりに独自の「HUAWEIモバイルサービス(HMS)」を提供し、生き残りを賭けています。
その利便性はさておき、ソフトウェアの面では代替ができているもののハードウェアに関してはHUAWEIだけでは為す術がない状態です。
同社が昨年発売したフラグシップ機「HUAWEI P50」シリーズは米国からの制裁措置により、5G関連機器を調達することができずSoCにはQualcommの「Snapdragon 888 4G」が搭載されています。
他のフラグシップ機に搭載されている「Snapdragon 888」の5Gモデム非搭載版で、性能は同じとしていますが、5G通信に非対応というのは競争力に欠けてしまします。
そこで、同社は5G対応は実現するために様々な策を模索しています。
以前に、同社製スマートフォンの設計デザインに関するライセンスをサードパーティ企業に付与し、そのサードパーティ企業がライセンスに基づき、スマートフォンの設計を行い、新たな端末名で市場に売り出すという制裁回避策が進められていると伝えられていました。
HUAWEIは禁輸措置の対象となっていますが、HUAWEIがライセンスを付与したサードパーティ企業は禁輸措置の対象とはなっていません。そのため、そのサードパーティ企業は米国から部品を調達できる他、GMS(Google モバイルサービス)を搭載することも可能です。
その先駆けとして、「HUAWEI nova 8 Pro」と同スペック・同デザインのスマートフォンが「TD Tech N8 Pro」として中国のTD Tech社が発売されました。
しかし、この制裁回避策が拡大されることなく今に落ち着いています。
そして、HUAWEIが次に目を付けたのは同社製スマートフォンの専用ケースに5G通信機能を組み込むことで5G対応を実現させるというものです。
この情報はHUAWEI関連の情報に精通するリーカーの厂长是关同学氏によって伝えられたもので、HUAWEIは、既存の4Gスマートフォン用に5G通信モジュールを内蔵する専用ケースを発売することで5Gスマートフォンに様変わりさせる計画を進めているとしています。
専用ケースに機能を持たせる例で言えば、Appleのバッテリー内蔵ケースが思い浮かぶかも知れませんが、5Gモデム内蔵のケースと言うのは技術的に可能なのでしょうか。
結論から述べると技術的には可能です。
実際、モトローラは5G黎明期の2018年に「5G moto mod」と呼ばれる拡張デバイスを発表し、4Gスマートフォンだった「moto z3」を後から5G通信に対応させることを実現しています。
「5G moto mod」は、5G通信モジュールに加えて、2000mAhの増設バッテリーも搭載しており、スマートフォン側に装着することで5Gモデムとして機能します。また、実際に米キャリアVerizonから発売されており商用化の例もあります。
要するに、HUAWEIも同じようなことを考えているのでしょう。
ただし、同社は米国から5G関連機器を調達することができず、自社で5Gモジュール内蔵の専用ケースを発売することはできません。
そこは、制裁の対象となっていないサードパーティー企業に開発や発売を任せることで回避するのでしょう。
前述したライセンスを付与する形で新たに5Gスマートフォンを発売しても既存ユーザーは恩恵を受けられませんが、専用ケースでの5G対応なら既存ユーザーでも低コストで5G化が実現します。
厚みや重さが増すデメリットも想定されますが、4Gスマートフォンだった端末が新たに5G通信に対応するようになるのは魅力的でしょう。
「こんなの有り?」とは若干思いますが、「押してダメなら引いてみろ」のような非常に面白いアイデアです。
現時点では、開発中とのリーク情報に過ぎませんが、是非実現してほしいところです。
source(1)(2)(3)