総務省は「電気通信機器の技術基準への不適合等」の事例リストにアップルの最新モデル「iPhone 13」を含めた「iPhoneシリーズ」15機種が対象となったことを公表しました。
「技術基準への不適合」というと日本国内で通信機器を利用可能とするための「技適」マークの取り消しか?と思う方もいるかもしれませんが、そうではなく「一定の条件」を満たした場合に「不適合」が発生するものとなります。
そのため、「技適」マークの取り消し処分などは発生しませんし、通信事業者1社としか契約しない「通常の使い方」で困ることはないでしょう。
ただ、楽天モバイルの躍進や格安SIM事業者の普及といった複数の通信事業者のSIMカードを併用することが珍しくなくなっている現在ではそれほど見過ごしていい問題ではないと言えます。
さっそく不適合が発生する問題の状況を確認してみましょう。
まず、「複数のSIM回線を併用している状態」つまり、「デュアルSIM」利用時に発生する問題となっています。
iPhoneの場合、複数のSIMカードを利用するには通常の「nanoSIMカード」と「eSIM」を併用した場合に発生する問題となります。
「デュアルSIM」だとダメなのかというと、そうではなく「eSIM」を「データ通信専用SIM」として利用し、nanoSIMカードを「音声通話対応のSIM」として利用した場合に、緊急通報「110番・118番・119番)が利用できない事象が発生するとのことです。
「見過ごしていい問題ではない」と言えるのが、この発生条件・事象どちらにも当てはまると言えます。
複数のSIMを利用する際に、片方を「データ通信専用」とする利用方法ですが、「むしろそのためにデュアルSIMを利用するのでは?」といってもいいぐらい基本的な使い方と言えるでしょう。
メイン回線となるdocomoなど主要事業者は音声通話のSIMとして利用し、いわゆる「ギガ」の消費に対して制限が少なかったり、料金を抑えることができる格安SIMを「データ通信」用として使ったら発生すると言われてしまうとデュアルSIM利用者の大半が困るのではないでしょうか。
発生事象の方もなかなか困ったもので「緊急通報(110番・118番・119番)がつながらない」となっています。
日常生活の中でこういった緊急通報を行うことはほとんどないでしょう。
だからこその「緊急通報」という位置付けと言えます。
しかし、本当に「緊急時」に「デュアルSIM」の不適合でつながらないとなってしまうと、緊急の意味をなさないことになり、命の危険すら発生する可能性があります。
回避方法として、「データ通信専用」のSIMを「音声通話対応」とすることで回避できる、としていますが、緊急通報を行うような切迫した状態でその情報に気付くことができるかと言われると、正直無理でしょう。
総務省からアップルに対しては問題を解決するための「ソフトウェア改修」の要請を行っているとしていますが、原因が判明しているわけではないのでしょう。
現在のところ、SIMカードの設定を変える以外に有効な方法はないようです。
対象となる「15機種」を下の表に示しますが、最新の「iPhone 13」シリーズ4機種はすべて入っていますし、先代・先々代モデルも当然同じ扱いとなっており、最近の機種はほとんど対象と考えて間違いないでしょう。
問題が発生する15機種 |
iPhone 13 |
iPhone 13 Pro |
iPhone 13 Pro Max |
iPhone 13 mini |
iPhone 12 |
iPhone 12 Pro |
iPhone 12 Pro Max |
iPhone 12 mini |
iPhone SE(第2世代) |
iPhone 11 |
iPhone 11 Pro |
iPhone 11 Pro Max |
iPhone XR |
iPhone XS |
iPhone XS Max |
中身自体は「iPhone SE(第2世代)」とほとんど同じ「iPhone 8」では発生しないあたりは不思議と言えば不思議ですが・・・。
ともあれすぐに解決する問題ではないことを考えると、デュアルSIMの利用を整理できないか検討するか、緊急通報を行うことがないように祈るか、電話帳などに設定変更の方法をメモしておくかぐらいでしょうか。