格安SIM事業者であった楽天モバイルが契約者や新規加入者向けに今まで使っていたスマートフォンの買取サービスとして提供していた「端末買取りサービス」をリニューアル、パワーアップさせ、2020年1月27日に「スマホ下取りサービス」の提供を開始しました。
今までの端末買取サービスとどう違うのか?docomoなどのライバル事業者が提供している下取りサービスとの違いも含めて解説していきます。
楽天モバイルは、大手キャリア(MNO)となった今も同じ内容で「スマホ下取りサービス」を提供しています。
目次
楽天モバイルのスマホ下取りサービスを3行でまとめると、、、
- docomoなどの下取りサービスと異なり、楽天モバイルとの通信契約は不要
- 買取には18歳以上であることと楽天IDが必要で下取り金額は楽天キャッシュで支払われる
- 下取り価格に優遇は特になく、ライバル事業者と同程度
スマホ下取りサービスの内容と強化点を確認
まずは、2020年1月27日に発表された「スマホ下取りサービス」の内容をこれまでの「端末買取りサービス」との違いや、ライバル事業者や中古事業者の下取りサービスと比べてどこが違うのか確認していきましょう。
従来の「 端末買取りサービス 」との違い
従来提供していた「端末買取りサービス」から強化・変更された点はいろいろありますが、最も大きいポイントが下取りに出す際に楽天モバイルとの通信契約が不要になった点です。
従来の「端末買取りサービス」はあくまで「楽天モバイル」の契約者が新しい端末に買い替える際や他事業者からナンバーポータビリティで「楽天モバイル」に乗り換える際に古い端末を下取りできるサービスでした。
しかし、「スマホ下取りサービス」では、そういった「楽天モバイル」との通信契約を下取りの条件としないため、docomoユーザーがSIMフリー機種やdocomoから新しいスマートフォンを購入し、docomoと契約したまま、古いスマートフォンの下取り先を「楽天モバイル」にすることができるようになりました。
下取り金額は楽天の電子マネーで支払われる
端末を下取りに出した場合、下取り額は現金で受け取ったり、機種変更時の新しい端末の価格と相殺するのが一般的です。
楽天モバイルの「スマホ下取りサービス」は、楽天モバイルとの通信契約とは切り離されている下取りサービスであり、従来型のどちらの支払い方法にも当てはまりません。
従来提供していた「端末買取りサービス」でも現金ではなく、楽天スーパーポイントで受け取りとなっていたため、同じような形となりますが、今回のスマホ下取りサービスでは「楽天キャッシュ」での受け取りとなっています。
楽天市場など楽天サービスを良く使用するユーザーにとって、楽天スーパーポイントは使い勝手のいい受け取り方でしたが、楽天キャッシュは楽天市場などの楽天サービスの通貨ポイントではなく、楽天以外にも利用できる電子マネーです。
もちろん楽天市場で使用することもできますし、「楽天キャッシュ」から「楽天ペイ」にチャージすることで楽天以外の決済手段にも利用できる点が新しい点です。
ライバル事業者の下取りサービスとはどう違うか
docomoやau、ソフトバンクといったライバル事業者もそれぞれに下取りサービスを提供していますが、楽天モバイルの「スマホ下取りサービス」との違いはどういった点があるのでしょうか。
docomoなどが提供している下取りサービスは自社の通信契約を行っているユーザーの機種変更やナンバーポータビリティで移ってくるユーザー向けの下取りサービスであるため、下取りを行うためには通信契約が必要です。
楽天モバイルがこれまで提供していた「端末買取りサービス」と同じことをdocomoなどのライバル事業者は行っています。
ライバル事業者との違いは、通信契約が必須か、必要で無いかです。
中古事業者の下取りサービスとはどう違うか
スマートフォンの下取りは楽天モバイルやdocomoなどの通信事業者だけに許されたものではなく、GEOなどの中古販売事業者も中古スマートフォンを仕入れるために買取りサービスを展開しています。
これら中古事業者の下取りサービスとはどこが違うのでしょうか?
中古事業者の下取りでは通常実店舗での受付となりますが、楽天モバイルはすべてネットから実施できるため、手軽さが大きな違いのように見えます。
しかし、GEOなどの中古事業者も最近ではネットからの申し込みで手続きが行える買取りサービスを提供しているため、買取り方法は差別化の要因とはならないでしょう。
楽天モバイル「スマホ下取りサービス」の売りである、「通信契約を必要としない」点も中古事業者の場合、元々通信契約などないため、あまり変わらないように思えます。
楽天モバイルの差別化要因を挙げるとすれば、楽天キャッシュで受け取ることができる点と通信事業者としての面もあるため、下取りされたスマートフォンの個人情報の取り扱いを適正に処理すると宣言しているところでしょう。
中古販売事業者が適切に処理していないというわけではありませんが、店舗や事業者によっては処理にばらつきが出る可能性もあります。
下取りに出す際にユーザー自身が初期化を行う必要がある点は楽天モバイルも中古事業者も同じですが、個人情報を取り扱っている事業者である点を考えると、気持ちの問題ではありますが、安心材料は楽天モバイルの方が少しばかり上ということができるでしょう。
スマホ下取りサービスの利用手順
楽天モバイルの新しい「スマホ下取りサービス」がライバル事業者や中古販売事業者とどう違うかを説明してきましたが、次に実際の利用手順も確認してみましょう。
楽天モバイルのWebページから仮査定と申込み
まずは楽天モバイルのスマホ下取りサービスから「下取りのお申込みはこちら」のボタンをクリックし、「下取りを開始する」を選択します。
下取りには楽天IDが必要となるため、楽天IDによるログインを求められます。
ログイン後、下取りに出す端末のキャリア(事業者)、メーカー、機種、容量を選ぶ画面に進み、機種の選択が完了すると仮査定が行われます。
楽天モバイルから配送された専用キットに詰めて返送
仮査定が行われ、金額に納得できた場合はそのまま下取りの手続きを進めます。
その後、「本人限定受け取り郵便」で返送キットが送られてきます。
返送キットにはスマートフォンを送るための梱包材と下取り申込書や実施すべき手順が同封されているため、下取りに出すスマートフォンを初期化するなど、返送キットの指示に従って返送キットにスマートフォンを詰めて送ります。
楽天モバイルにて実機の査定後、下取り価格が確定される
ネット上の仮査定はあくまで「仮」の査定であり、楽天モバイルに送った実機に対して査定が行われることで正式な買取価格が決定されます。
スマートフォンの状態などにより買取価格に変動が発生する場合は、承諾を求めるメールが送られてくるため、問題なければメールの内容に承認登録を行います。
承認せずに放置してしまうと、キャンセル扱いとなり、せっかく送ったスマートフォンが送り返されてしまうため、注意が必要です。
下取り確定後、1か月程度で楽天キャッシュにより下取り額が支払われる
実機への査定後、下取りの承諾処理を行うと下取りの手続きは完了です。
楽天モバイルの説明では、実機査定と下取り承諾を実施後、約1か月程度で楽天キャッシュにチャージされ、支払い完了となります。
下取り後の端末の行方は?
下取り完了後、楽天キャッシュがチャージされると下取りがすべて完了となりますが、少し気になるのが下取りに出したスマートフォンの行方ですね。
これまで提供していた「端末買取りサービス」で購入したスマートフォンと同様に楽天グループの「ラクマ」などで個人情報の消去等の処理を行った後、中古スマートフォンとして販売し、スマホリサイクルの一翼を担っていくようです。
スマホ下取りサービスの端末価格について
スマホ下取りサービスの内容、ライバル事業者等の下取りサービスとの違い、申し込み手順を見てきましたが、次に実際の相場をいくつかの機種で見てみましょう。
楽天モバイルのスマホ下取りサービスの価格表と、docomo・au・softbankのそれぞれ下取りサービス額、GEOの宅配買取り額を比較してみます。
なお、楽天モバイルの下取り額は相場を意識したものか、同じ機種でも事業者によっては金額が異なるため最も高い額を記載しています。
(2020年5月08日時点の各社ホームページ上の下取り額をもとに比較)
iPhone XS Max 256GB
最新のiPhone11シリーズはまだ下取りに出てくることを想定していないのか、下取り価格表に記載がなかったため、iPhoneシリーズの1つ前のフラグシップモデルである「iPhone XS Max」の256GBの場合、以下のようになっています。
(softbankのみ容量別の買取額の記載がないため他社より安く見えています。)
僅差ではありますが、楽天モバイルが最も高い値付けをしています。
事業者 | 最大下取り額 |
楽天モバイル | 64,450円 |
docomo | 60,100円 |
au | 64,350円相当 |
softbank | 40,800円相当 |
GEO | 59,400円 |
iPhone8 64GB
iPhone11シリーズから見ると2世代前のiPhoneとなるiPhone8です。
スペック的にはまだまだ現役ですが、そろそろ買い替えを検討している方も出てくる機種と言えます。
通信事業者別では楽天モバイルがauの買取額に引っ張られて最高額をつけていますが、中古事業者を含めるとGEOの買取額が最も高い額をつけています。
事業者 | 最大下取り額 |
楽天モバイル | 19,300円 |
docomo | 13,300円 |
au | 17,600円相当 |
softbank | 14,400円相当 |
GEO | 18,700円 |
Xperia 1 64GB
SONYが低迷するXPERIAを「1」から再定義したのがXPERIA 1です。
現在のXPERIAシリーズのフラグシップモデルのため、あまり下取りに出てくる想定がないのかauとsoftbankの下取りサービスには金額の記載がない状態となっています。
下取り額の最高額は僅差で楽天モバイルとなっています。
事業者 | 最大下取り額 |
楽天モバイル | 40,100円 |
docomo | 41,800円 |
au | 記載なし |
softbank | 記載なし |
GEO | 44,000円 |
Xperia XZ2
XPERIAが低迷していた頃の機種といえるXPERIA XZ2は利用中の方の中には下取りと機種変更を検討している方も多いのではないでしょうか。
発売時期からも今後値崩れが予想される機種と考えることができます。
楽天モバイルの下取り額はdocomoと同水準でGEOが頭ひとつ抜け出た値付けになっています。
事業者 | 最大下取り額 |
楽天モバイル | 22,100円 |
docomo | 22,000円 |
au | 16,500円相当 |
softbank | 9,600円相当 |
GEO | 16,500円 |
Galaxy Note 9 128GB
この冬モデルに後継機のGALAXY NOTE10+が発売されたため、先代モデルとなったGALAXY NOTE9ですが、スペック的にはまだ買い換えの必要はないでしょう。
下取り額もかなりの高額をつけていて、楽天モバイルが僅差で最高額をつけています。
事業者 | 最大下取り額 |
楽天モバイル | 38,000円 |
docomo | 36,700円 |
au | 22,000円相当 |
softbank | 記載なし |
GEO | 35,200円 |
Galaxy Note 8 64GB
前述のGALAXY NOTE9のさらに1つ前のモデルがGALAXY NOTE8です。
こちらもまだまだ現役で活躍できるスペックですが。発売から2年を超えており、機種代の支払いぎ完了したこともあり、買い替えを検討する人が出てくる機種でもあります。
発売後2年を超えた機種に対する通信事業者の下取り額は冷たいものを感じます。
このモデルであれば楽天モバイルを含めて通信事業者に下取りを出すよりGEOなどの中古事業者に出す方がいいでしょう。
事業者 | 最大下取り額 |
楽天モバイル | 18,800円 |
docomo | 8,000円 |
au | 8,800円相当 |
softbank | 記載なし |
GEO | 19,800円 |
まとめ:楽天のスマホ下取りサービスは有りか否か
楽天モバイルの「スマホ下取りサービス」を紹介してきましたが、通信契約と切り離して下取りに出すことができるのは魅力ですが、下取り価格にプレミアムが付くわけではないため、docomoなどのライバル事業者を使い続ける方があえて楽天モバイルに下取りに出す動機付けは薄いでしょう。
(Softbankなど場合によってはライバル事業者側の方が高い機種ではなおさら動機付けは薄いでしょう)
しかし、通信契約不要という利点がある点、楽天キャッシュで支払いを受けることができるところを考えると、docomoなどの大手事業者から格安SIMに乗り換える際に古い端末の下取り先としてはいい候補になるでしょう。
楽天ペイをメインで使っている方や楽天市場などの楽天サービスのヘビーユーザーの方は下取り額を楽天キャッシュで受け取れる点も魅力と言えるため、下取り後のメリットがある場合は活用を検討する価値はあると言えるでしょう。