カメラの高画質高画素化、性能向上にともなってゲーム機並みのリッチコンテンツを楽しめるようになったスマホゲームが代表するようにスマートフォンやタブレットが取り扱うデータ量は飛躍的に増えています。
一昔前なら16GBもどうやって使い切るのだろう?と思われたAndroidスマートフォンですが、今ではローエンドでも16GBモデルは珍しく、32GBモデルが大半を占めるようになっています。 ハイエンドモデルともなれば、64GBが当たり前で128GB以上のデータを保存できるモデルもそれほど珍しくなくなりつつあります。
とはいえ高画質の写真や動画の保存、スマホゲームや電子書籍といった多種多様なデータを保存していくと、やっぱり保存容量は足りなくなるもので、iPhoneユーザーであれば日常的にiCloudにデータを移し、本体のデータ量の節約を図っていることでしょう。 しかし、iPhone・iPadとちがってAndroidスマートフォン・タブレットであれば、SDカードを利用できるモデルも多く、大容量のSDカードを使うことで本体にプラスしてデータ保存容量を増やすことができます。
今回はそんなAndroidスマートフォン・タブレットの特徴である「SDカード」の選び方を解説します。 購入時は足りなくなるなんて思わなかったスマートフォン・タブレット本体のデータ保存容量にしばられることなく、多種多様なコンテンツをSDカードでしっかり楽しみましょう!
目次
AndroidとSDカードの関係を3行でまとめると、、、
- スマホ本体のデータ量に加えて写真などのデータ保存容量を増やせる
- カードサイズ、規格によって保存できる容量とデータ転送速度が変わってくる
- 本体のデータ容量を全く無視できるわけではない点は注意が必要
SDカードとは
SDカードが開発されて20年が経過しており、SDカードを知らない人は今ではかなり少ないと思いますが、まずはSDカードの基本から紹介します。SDカードはパナソニック、サンディスク、東芝によって開発されたメモリーカードの規格でAndroidスマートフォン・タブレットに限らず、デジタルカメラや音楽プレーヤーなどデータ保存を行う様々な機器に使用されています。 ひとくちにSDカードといっても、サイズ・データ量・転送速度により規格が定められているため、それぞれどう変わってくるのかも見ていきましょう。
SDカードの規格:サイズ
まず、もっとも基本的なSDカードのサイズ感による規格の違いから説明します。SDカードのサイズは、最初に開発された標準サイズの「SDカード」、携帯電話やデジタルカメラ向けにSDカードでは大きすぎるため、より小さなカードとして開発された「miniSDカード」、現在スマートフォン・タブレットなどに使用されているminiSDカードよりさらに小さなカードとして開発された「microSDカード」の3種類に分かれています。 それぞれサイズが異なるため、単純に差し替えることはできませんが、サイズ以外は互換性を持っているため、大きなサイズのSDカードが利用できる機器では、アダプタを利用することで小さなminiSDカードやmicroSDカードを利用することができます。
ただし、今回のテーマであるAndroidスマートフォン・タブレットの場合は、もっとも小さなmicroSDカードとなるため、アダプタの恩恵を受けることはできません。
SDカードの規格:データ量
次にSDカードに保存できるデータ容量の違いが規格によって定められています。最初に開発されてから20年の間に技術の進歩や時代の要請に応じて徐々にデータ保存容量が増えていったということができます。 まずは標準のSDカードですが、最大容量が「2GB」までとなっています。
標準のSDカードを拡張したものが「SDHCカード」で「HC」は「High Capacity」の略で大容量SDカードを指しています。
この「SDHCカード」によりデータ保存容量は最大32GBまで拡張されることになりました。 そして現在Androidスマートフォン・タブレットのSDカードの主流となっている64GB以上のより大容量データに対応する規格として「SDXCカード」が生まれました。
「XC」は「Extended Capacity」の略となっており、最大で2TBまでデータを保存することができるようになっています。
SDカードの規格:転送速度
データ量が増えてくるとSDカードからの読み取り、書き込み速度の重要性も高まってくることになります。いくら大容量データを扱えても写真1枚を保存するのに10秒も20秒も使っていてはストレスなくスマートフォン・タブレットを利用することはできないからです。 SDカードの転送速度は「Class」という単位で分類されています。
もっとも低速な標準速度のスピードクラスは「Class2」で2MB/秒の転送速度となっています。
これは標準画質(SD)の動画撮影であれば問題ない速度と言われています。 次に4MB/秒に対応した「Class4」、6MB/秒に対応した「Class6」が続き、この2つはHD品質の動画撮影であれば耐えれる転送速度となっており、このクラスは最低でも確保しておきたスピードということができます。 その次が10MB/秒に対応した「Class10」でFullHDビデオの撮影やHD画質の写真の連続撮影にはこのクラスが必要と言われています。 この「Class」は「Class10」までとなっていますが、これでは4K品質のビデオ撮影に耐えることができないため、さらに上位の「UHSスピードクラス」というものが規定されています。
この「UHSスピードクラス」の「Class1(U1)」は従来のスピードクラスの「Class10」に相当しており、4Kビデオ撮影に対応する規格は「Class3(U3)」の30MB/秒の転送速度となっています。
Androidスマートフォン・タブレットで使用できるSDカードは?
サイズ、データ量、転送速度の3つの規格でSDカードは規定されているのはわかりましたが、Androidスマートフォン・タブレットで利用できるSDカードは結局どう見分ければいいのでしょうか。次は、Androidスマートフォン・タブレットで利用できるSDカードを判断する際の注意すべきポイントを紹介します。
どのSDカードが利用できるかはスマホ・タブレット本体側で変わる
どのSDカードが利用できるか紹介するといっても、難しいことはなく、Androidスマートフォン・タブレットごとに利用できるSDカードの規格がそれぞれ決められているため、Androidスマートフォン・タブレットのスペック表を確認することでどのタイプのSDカードを利用できるかはわかるようになっています。 まずサイズに関しては大半のAndroidスマートフォン・タブレットが「microSDカード」に対応しているため、あまり疑問に思うところはないでしょう。転送速度も用途によって変わってきますが、上位の転送速度に対応していればおおむね問題ありません。 そのためどのデータ容量まで対応しているかで購入すべきSDカードの種別が決まってくるということができます。
スマートフォン・タブレットのスペック表には対応しているSDカードの種類と認識可能な最大容量が記載されているため、データ容量の規格と購入するSDカードの上限容量を確認しておきましょう。
すべてのAndroidスマートフォン・タブレットがSDカード対応ではない
Androidスマートフォン・タブレットの多くの機種がSDカードに対応しているのですが、Androidスマートフォン・タブレットであれば「すべての機種」がSDカードに対応しているわけではありません。Huaweiの一部の機種で採用が始まったNMカードのようにmicroSDカードと同じようなサイズではあるが、異なる外部メモリーカードを使用している機種もあるため、対応するメモリーカードの種類・容量とあわせてチェックしておきましょう。
iPhoneと同じようにSDカード等が利用できないAndroidスマートフォン・タブレットもある
さらにPixelシリーズのようにAndroidスマートフォンでありながら、iPhoneと同じようにSDカードを含めた外部メモリーカードにまったく対応していない機種もあります。外部メモリーカードを用意していない機種は本体メモリを多めに設定する傾向が強いですが、不足したらSDカードを使用しようと考えていると思わぬ落とし穴にはまってしまう可能性があります。
DualSIM対応のSIMフリースマホも要注意
SDカード対応と規格の種類、最大容量をしっかりチェックしても、一部のDualSIMスマホの場合、もう1点注意が必要です。DualSIMスマホはSIMカードを2種類使うことができるため、格安SIMとの契約も活用したいと考えるときに有効な選択肢ですが、SIMカードを2枚挿入できるようにするため、追加分はmicroSDカードのカードスロットと共用していることがあります。 その場合、microSDカードを使用するのか、もう1枚SIMカードを使用するのか、どちらかを選択する必要があるため、せっかくのDualSIMスマホの利点を諦める必要がある場合があります。
SDカードに保存できるデータはファイルの種類やアプリ次第
本体のデータ容量が少なくても、大容量のSDカードを用意しておけばすべて問題解決かというと、保存できるデータの種類にも注意が必要となります。具体的にはファイルの種類別に実例を紹介しますが、アプリの対応状況次第であり、本体メモリを使用するものも少なくないのです。
SDカードに保存するデータ:写真・動画
スマートフォン・タブレットで撮影する写真や動画ファイルについては、ほとんど制限はないでしょう。カメラの設定で保存先をSDカードにしておけば、いくら写真を撮ってもほとんど本体メモリには影響を与えないで済みます
(厳密にはアルバムアプリを使用した場合、アプリに表示する写真の小さなサムネイル画像は本体に保存される場合が多いのであまりに大量に写真を撮影すると多少の影響はあります) 保存速度を考えて、本体メモリを保存先に選択していたとしても、本体メモリの容量が減ってきたら、アルバムアプリなどで本体メモリからSDカードに画像・動画を移すことで、本体メモリの空き容量を増やしつつ、引き続き撮影した写真・動画はいつでも確認できるという利便性を確保することができます。
SDカードに保存するデータ:動画コンテンツ
Amazonプライムビデオなどのネット動画サービスや家のレコーダーからお出かけ転送などでスマートフォンに動画コンテンツを転送して持ち運ぶことでどこでも動画コンテンツを楽しめるのもスマートフォン・タブレットの活用方法の1つですが、この時保存先がSDカードになるのか、本体メモリとなるのかはアプリ側の対応次第となります。 例を挙げると「Amazonプライムビデオ」はSDカードに保存できるため、本体メモリを気にする必要はないでしょう。(ただし、Amazonプライムビデオの場合はダウンロード(レンタル)しておけるビデオ数に制限があるため、無制限というわけにはいきませんが)
レコーダーのデータを持ち出すSONYの「Video & TV SideView」だとSONYのXperiaシリーズであればSDカードに保存を許していますが、SONY製以外のスマートフォン・タブレットから利用する場合は保存先が本体メモリに固定されるようになっています。
(他社製品に対する制限というよりは自社製品のアドバンテージということでしょう)
SDカードに保存するデータ:電子書籍
電子書籍の普及率もかなり増えてきているのではないでしょうか。複数のサービス事業者が乱立している状況のため、サービス終了になる事業者が出てきた場合の不安はあるにせよ、普段使いのスマートフォン・タブレットに100冊以上の書籍を入れて運べる利便性は一度味わうと手放せないでしょう。
そんな電子書籍に関する書籍データの保存先ですが、これもサービス提供者のアプリ対応状況次第と言えます。
SONYのReaderなどは保存先を本体・SDカードと自由に選ぶことできますが、docomoのdマガジンでは本体メモリにしか保存できないため、雑誌をダウンロードしまくると本体メモリの残容量が少なくなっているという状況になる可能性もあります。
SDカードに保存するデータ:その他アプリデータ
上記以外のデータというとアプリ本体やゲームアプリの保存データのように多種多様なものがあります。これらも結局アプリ側対応するかどうか次第となります。
ユーザーデータはSDカードに保存できるよう対応しているアプリは増えていますが、インストール先までSDカードにできるアプリはまだ多数派とは言えません。 また、アプリそのものをSDカードにインストールしてしまうとSDカードが壊れたり、SDカードの容量を増やすため、より大容量のカードと入れ替えた際にアプリそのものが使えなくなる可能性もあります。
(もっともこれはアプリデータに限った話ではなく、SDカードに保存しているデータも定期的なバックアップは必要と言えます)