SamsungやHuawei などが商品化を進めているディスプレイを拡張し、タブレットにもなるスマートフォンが2019年後半から「フォルダブルスマートフォン」という新しいスマートフォンの形として注目を集めています。
そういった状況の中、LGエレクトロニクスはフォルダブルスマートフォンとは全く異なるアプローチで「タブレットにもなるディスプレイ拡張型のスマートフォン」の商品化を目指しています。
「LG Rollable」として、昨年11月にEUIPO（欧州連合知的財産庁）への商標出願を行っており、コンセプト画像の発表も行っていたスマートフォンがその正体ですが、この「LG Rollable」がいよいよ商品化に向けて動き出したようです。
世界最大のIT家電ショー「CES 2021」のLGエレクトロニクスのPress Conferenceムービーの冒頭部分と締めくくり部分で動作している「LG Rollable」のデモ映像が流されており、日経アジアの記者にLGエレクトロニクスの広報担当者が「2021年後半に発売される予定」と語ったと報じられています。
この「LG Rollable」は巻取り式の有機ELディスプレイをディスプレイに使用し、タブレットモードとして動作する際、スマートフォンの一部がスライドすることで拡張され、その動きに合わせて巻き取られていた有機ELディスプレイが引き延ばされることでスマートフォンから小型タブレットにディスプレイサイズを変更する仕組みとなっています。
「LG Rollable」は、昨年9月に発表し、グローバルでは既に商品化にこぎつけている「LG WING」と同じ「Explorer Project」で開発が進められていたプロジェクトで、発表時はコンセプトモデルの扱いでしたが、おそらく開発のめどが立ったことで実際の商品化に向けて動き出したのでしょう。
「CES 2021」のLG Press Conferenceムービーに登場してた「LG Rollable」の映像が実際の開発モデルを使用しているのか、合成によるコンセプトムービーなのかは不明です。
「LG Rollable」の情報もムービー内に登場する映像以外、詳細な情報はまだない状態となっています。
しかし、「2021年中に発売される」というLGの広報担当者の話や、同じようなコンセプトの巻取り式有機ELテレビ「LG SIGNATURE」が既に商品化されていることを考えると、「LG Rollable」の2021年中の発売は十分あり得る話と考えることができるでしょう。
SamsungやHuawei が進めているフォルダブルスマートフォンは構造的に折り畳み部分に「折り目」が生じてしまう問題を抱えているのに対して、折り畳みを行わない「LG Rollable」は発売されれば、フォルダブルスマートフォンのかなり強力なライバルになると思われます。
SamsungやHuawei の群を抜いた強さにLGエレクトロニクスは少し影が薄く感じるような状態が続いていますが、2021年は「LG Rollable」によって一気に巻き返しをはかることになるのか、目を離せない状況になりそうです。
